バグっていた、私の自他境界線『バウンダリー』
近藤弥生子<第一回>
東京で働いていた時の私は、雑誌編集やウェブディレクターという職業柄からか、「何でもこなせる」のが良いと思っていた。逆に言えば、何でもこなせないと、職業的に失格だとさえ思っていた。
今振り返って思うと、その考えが行き過ぎて、自分を捧げ過ぎてしまっていたかもしれない。
13年前に台湾に移住し、ローカル企業で働き始めてまず驚いたのは、同僚の台湾人たちの自己と他者の境界線『バウンダリー』がはっきりしているということだった。日本で主流の雇用形態がメンバーシップ型(=会社に合う人を採用し、その後職務内容を決定するシステム)であるのに対し、台湾はジョブ型(=職務内容に合う人を採用するシステム)であると...