老舗扇子屋の女将が見つけた“素のわたし”。京都の伝統をつなぐ大西里枝さんの完璧を求めない姿
ふわりと雪が舞う京都。五条駅のほど近くにある京町家※に、あたたかい光の中で美しい扇子が並んでいる。
「寒い中ようおこしやす。足、くずしてくださいね」
そう言って奥へ迎え入れてくれたのは、大正時代から京扇子を商う大西常商店の4代目・大西里枝さんだ。※町人(商人)の家のこと。店舗型住居
新卒でNTT西日本に就職後、九州で勤務。結婚と出産を経て、伝統産業の歴史を担う家業の女将になった。「伝統を継ぐ」と聞くと、つないできたものをそのまま残していくイメージが強いかもしれない。しかし、大西さんは次につなぐために、強みを活かして変化する道を選んだ。
X(旧:Twitter)では、京都の文化や暮らしを本...