直感で選んだ道を「正解」にするために、新たな景色を描いていく

山中:僕の場合は、直感を信じていたと思いますね。ただ、他の選択肢も試してみないと、何が一番良いのかわからないというのも事実なので、色々やってみることも大事ですが。
そして、その選択をどうやって自分にとっての「正解にしていくか」ということなのかな。選んだ道で正解だったんだと思えるかどうかは、やっぱり自分次第ですから。
山中:そうですね……「自分を楽しませてあげられるかどうか」でしょうか。
絵本やイラストを見て、「これいい!」って自分が思えるかどうかはすごく大事にしている部分です。「最初のクライアントは、自分」っていうのは、つねに頭の片隅にありますね。

山中:そうですね。きっといま自分から見える景色っていうのは、すごく狭くて、小さい範囲なんだと思うんです。
これまでの経験から、自分から足を踏み出せば新しい場所に行けるし、新しい人に出会えるということは知っている。そこに年齢を重ねたことで、それは遊びだけではなく仕事でも言えることだと思うようになりました。
だから僕にとっての、「自分らしく働き、生きる」っていうのは、どんどん新しい景色に出会っていくことなのかな、と思います。
山中:今の僕は、本当に多くの人との出会いや縁によってできています。「あの時あの人と出会えていなかったら」と思うことも多い。
逗子という場所も、新しい景色だったと思います。ゆっくり流れる時間や、出会った人たちの生き方なんかもそうです。何事もお金、お金ではなくて、余分があるものをおすそ分けしたり、してもらったり。僕の持っているスキルでできることがあれば、喜んでお手伝いもさせてもらいます。
僕はいま個人事業主として働いていますが、決して一人で仕事をしているわけじゃない。誰かの力があってはじめて自分の力が発揮できるんだと、日々実感します。
自分の直感で選んだ道を正解にするために、これからも、新しい景色に出会っていくんだろうと思います。


山中タイキ
1988年東京生まれ、現在逗子在住。ロンドンの美術学校でイラストレーションを学ぶ。2017年より海外絵本専門店兼ブックレーベルyackyackbooksをスタート。昨年2024年に青果店ミコト屋とともに制作した絵本「We Are Flowers」がイタリアで行われたブックフェアでの展示作品の1冊に選書される。またイラストや絵本制作のほか、FMラジオ局J-WAVEでのラジオパーソナリティーやナレーターとしての活動も行っている。
執筆:郡司しう 撮影:梶礼哉 構成:プルデンシャル生命広報・ミモザマガジン編集部