自分らしさは「もがいてみること」と「周りのまなざし」が教えてくれる

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――とはいえ、一時は念願だったアナウンサー職です。お仕事はいかがでしたか?

笹川:AD出身という経歴やAD時代にお世話になった社内のさまざまな部署の皆さんのおかげで、バラエティのお仕事をいただくことが多かったです。でも、いざ自分が表に立つとなると「これを言ったら角が立つかな」「台本からはずれちゃうかも」なんて考えすぎて、気の利いた受け答えは全然できず……。

周りからは「“笹川らしく”でいいんだよ」「そのままでいればいいから」と言っていただくけれど、その「自分らしさ」っていうのが何なのかわからないわけで。期待に応えられていない気がして、いつも不安でした。夜中に本屋さんに駆け込んで、何冊も自己啓発本を読み漁ってみたりして。

――自分らしさが見えずにもがいていた時期を、どんなふうに乗り越えたんですか?

笹川:じつは、自分らしさについては答えをみつけられないままTBSを退社しました。

別の仕事や子育てといった新しい経験をしたいま、確かに当時言われたとおり「そのまま」でよかったんだなと、やっと腑に落ちています。

そもそも「自分らしさ」に自分で気づくことって、すごく難しいですよね。上手に自分を言語化したりPRしたり、セルフブランディングが得意な方もいるけれど、それはやっぱり特別な才能で、私には難しかった。でも、自分らしさを見つけて私だけの価値を出したいともがいた日々は、決して無駄ではありませんでした。らしさを探し求める経験をとことんしたからこそ、「そのままでいい」という結論にちゃんと納得できたんだと思っています。

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――結婚や第一子の出産・育休からの復帰を経て、TBSテレビを退職された当時、今後のキャリアについて、どのように考えていましたか?

笹川:当初、退社や転職は全く想像していませんでした。ただ、育休中に夫と将来の話をしていたとき「友里ちゃんは、本当はチャレンジすることが嫌いじゃない人だと思うよ」と言われたんです。でも、当時の私は書き初めで「現状維持」と書くほど変化が苦手なタイプだったから(笑)、軽く受け流していました。

――現状維持!イメージと違いますね(笑)それなのに、どうして独立されたんでしょう。

笹川:世の中の仕組みや成り立ちをもっと理解したいという気持ちがありました。アナウンサーとしてさまざまな情報を伝えるなかで、自分の知識不足を実感しましたし、ちゃんと勉強をして、自分なりに噛み砕いて言葉にしたいと思うことが増えていました。もちろんそれまでもインプットはしてきたけれど、経験値も足りていないというか……。

そんなときに、先輩から「女性のためのサウナを一緒につくってみないか」と持ち掛けられ、ビジネスにも興味を持っている自分に気づきました。じゃあいっそ、MBAでも取ろうかなと考えていたら、そこでも夫が「座学よりも身体を動かしながら、実践で経験を積んで学ぶほうが向いていると思う」という言葉をくれて。私よりもよほど私のことを理解してくれている家族には、いつも感謝しています。

でも、会社に所属した状態では、何をするにも誰かの意思決定が必要で、アクティブには動けない――。小さなチャレンジを積み重ねてみようと思い、独立する道を選びました。

―― なるほど。夫の太田雄貴さんは“笹川さんらしさ”を誰よりも理解して、いいときにいい言葉をくれる、素敵なパートナーでありメンターでもあるのですね。 そうして独立した笹川さんにとっての「自分らしい働き方」って、どんなことでしょうか?
※太田雄貴さん…笹川友里さんの夫。2008年北京五輪 フェンシング男子フルーレ個人で日本人初の銀メダルを獲得した。現在はJOC専務理事。IOC委員。国際フェンシング連盟理事
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笹川:心を満たし、満たされることです。

なにかを頑張ることって、わかりやすく心の充足につながると思うんです。頑張ることを絶やさず続けていると、そんな自分のことが好きになれるし、失敗も含め、豊かな経験と時間が得られて、周りとの関係も良好になっていく。頑張った結果、成長できたら、さらに満たされる。

自分の頑張る姿が、どこかで誰かの背中を押す力になることもあるかもしれません。

――笹川さんご自身が、本当に前向きで頑張っていて……。素敵です!

笹川:いやいや~、本当は24時間、誰にも邪魔されずに一人でNetflixを見ていたいです。でもきっとそんな夢のような時間、3日で飽きちゃうと思う(笑)。だから基本はなにかを頑張って、ときどき思いっきり怠けてスイッチをオフにする……そんなバランスが心地いいですね。

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