子どもを産んでも、大好きな仕事を続けるためのマインドシフト

画像1: 子どもを産んでも、大好きな仕事を続けるためのマインドシフト
――ブランドの立ち上げと並行して、初めての出産。仕事との新しい関係性が見えてきたそうですが、子育てとの両立には悩まれることもあったのではないでしょうか。

前田:じつは第一子を産んだとき、仕事はほとんど休まなかったんです。せっかく自分のやりたいことを求めて転職して、ようやく少しずつ実りはじめたときだったから……産休や育休で立ち止まったら、身に着けたことが失われてしまう気がしました。

ただ、出産を機に引っ越してきた鎌倉には、個人商店を営みながら子育てをしている人も多くて……生活と仕事とが密接にかかわりながら暮らす人が多いんです。そんな人たちの姿には、とても勇気づけられました。自分も工夫次第で、うまく働き続けていけるような気がして。せっかく見つけた大好きなことを辞めないために、両立の道を探っていきました。

――仕事と子育てを両立するために、どんな工夫をされてきましたか?

前田:しいて言うなら完璧を目指さず、「できるかぎりのことを精いっぱいやる」ように自分の意識を変えました。

たとえば、毎朝仕入れのために市場へ行くんですが、以前は誰よりも早く出向いて、一番いいお花やめずらしいお花を仕入れたいと思っていた。でも、子育てをしていると毎回早く行くのはどうしても難しい。そんなとき、いままでどおりできないことを嘆くのではなく、目の前にあるお花からベストを選ぶ意識を持つんです。

プライベートでも完璧を目指さないことはすごく大事。去年からはお花だけでなく庭づくりにもチャレンジしてみたくて、造園の勉強もはじめましたが、子育てしながら勉強するのはなかなか大変です。だから毎日バタバタしているけれど、無理はしません。本当に時間がないときは、潔く家事を手抜き(笑)。それでも一度きりの人生だから、やりたいと思ったことは諦めずに、できる方法を探したいと思っています。

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――こうしてお話を伺っていると、前田さんがいまのお仕事やそれを取り巻く現状を心から愛し、常に前進しようとしていることが伝わってきます。それはやはり、前田さんが好きなことを仕事にされたからなのかもしれませんね。

前田:そうだと思います。たまに「好きなことを仕事にするにはどうすればいい?」というご相談を受け、講演会などで自分の経験をお話することがあって。経歴だけを読むと、アナウンサーを10年やってパッと辞めて急に花屋になった……みたいに見えるんですが(笑)、自分なりに小さなステップをいくつも踏んで、時間をかけて見つけたのがこの道。これからの人生を考えている方に、私の例が参考になればうれしいですね。

――最後に、今後の目標を教えてください。

前田:表参道と鎌倉のお店は、地域の人に愛されるようなかたちで、少しでも長く運営していきたいと思っています。お花を届けることで誰かを癒したり、明るくしたりしていきたい。それはやっぱり、自分自身がお花に助けてもらった経験があるからです。いまの仕事は、根幹のところできっと、自分自身とつながっているんじゃないかなと思います。

画像3: 子どもを産んでも、大好きな仕事を続けるためのマインドシフト
画像: 自分の「好き」を育てて花開かせた。前田有紀、アナウンサーからの転身と、その後。

前田有紀

10年間テレビ局に勤務した後、2013年イギリスに留学。コッツウォルズ・グロスター州の古城で見習いガーデナーとして働いた後、都内のフラワーショップで3年の修業を積む。2021年4月に神宮前にNURをオープン。2022年5月に初の著書「染めの花 フラワーデザイン図鑑」(誠文堂新光社)を出版。2025年4月に鎌倉にgui flowerをオープン。

執筆:菅原 さくら 撮影:梶 礼哉


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