暮らしも仕事もすべて、つながっている人生の一部

画像: 暮らしも仕事もすべて、つながっている人生の一部
――コッツウォルズから帰国したあとは、花を仕事にするために、どんな動きをされましたか?

前田:都内のフラワーショップで3年働いて、修行しました。お花の仕事で生きていくには、専門的な知識や多くの経験が欠かせません。その時点で何も持っていなかった私には、スキルを身に着ける学びの時間が必要でした。

ただ、心のどこかにあった「いままでテレビ局のアナウンサーとしてある程度の成果を出してきたんだから、きっと新しいチャレンジでもそれなりにうまくやれるはず」という予想は、大きく外れました。

お花屋さんの仕事において、私は本当になんにもできなかったんです。専門的なことだけでなくレジ打ち、配送用の梱包、請求書の手配など、細々としたことをこなすスキルがまったくなくて……社会人として曲がりなりにも10年頑張ってきたはずなのに、こんなにも知らないことがたくさんあるのかと。

――30代で新しい業界に飛び込み、うまくできないことをたくさん見つけて、心は折れませんでしたか……?

前田:いえ、「できないことを、いまのうちに知れてよかったな」と思いました。

もっと年を重ねるまでできないままだったら、取り返せなかったかもしれない。なにか失敗をして叱られるたびに「いまわかってよかった」「ここでできるようになろう」と、ポジティブに考えられました。そうやって少しでも成長しようとするマインドだったので、周りも遠慮なくいろんな指摘をしてくださったのかもしれません。

――修行を終えて自身のフラワーブランド「gui」を立ち上げ、フローリストとして独立したのが35歳のとき。いよいよ雇われる身でもなくなり、仕事のとらえ方はどう変わりましたか?

前田:昔は、仕事は自分とは関係なく「やらなきゃいけないこと」として存在しているものでした。そこに「私はこうしたい」みたいな想いを乗せるものでもないと思っていたんです。でも、いまは自分自身のすべてが仕事につながっているというか……暮らしも仕事も全部、つながっている自分の人生の一部。そこを分けて考えることが減ってきました。

画像: ▲取材現場として伺った前田さんの新店舗「gui flower kamakura」(2025年4月オープン)では、多くのお客さまを笑顔で出迎えていた

▲取材現場として伺った前田さんの新店舗「gui flower kamakura」(2025年4月オープン)では、多くのお客さまを笑顔で出迎えていた

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