否定の言葉は、行動を起こすための“ガソリン” だと捉え、前に進む

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――ついに、しっくりくる答えを見つけた千葉さん。次の一歩は何から始めましたか?

千葉:話すことを生業としている方々に会いに行きました。新しいことを始めるときは、不安な気持ちからたくさん調べものをする人が多いと思います。それも悪くないけど、人に会って情報を得る方が私の性格には合っていると感じていて。今第一線にいる方々の話を聞いて、自分の進み方のイメージを膨らませていきました。そして社内プロジェクトとして「スピーチライティング業務」を提案し、その後2019年に株式会社カエカを設立、自社事業としての運営をスタートしました。

――素晴らしい実現力!会いに行った方々の応援が力になったのですね。

千葉:結果的にみなさんの言葉に支えられたのは事実ですが、実はほとんどが否定的な反応でした。「できないよ」「才能がないと無理だよ」「アナウンサー試験に落ちたあなたには不可能だよ」と……。

それでも会い続けていたところ、ひとりだけ、チャンスをくれた人がいたんです。プレゼンテーションの講座を運営する会社の代表で「そんなに熱意があるなら、うちの講座で10分話してみて」と言ってくれて。その時の私はまだ誰にも指導をしたことがなかったけど、一生懸命内容を練りこんで10分のスピーチを披露しました。拍手とともにいただいたのは、「素晴らしい、ぜひ講座を担当してほしい」というお言葉。あきらめなければご縁も運も繋がっていくと実感した出来事でした。

――やっとつかんだチャンス。それまでたくさん投げかけられた厳しい言葉に、落ち込むことはありませんでしたか?

千葉:もちろん落ち込みました。でも否定されたり落ち込んだりした経験は自分の「ガソリン」になると捉えているからあきらめる理由にはならなかったです。覚えておけば、実現した未来で「あの時、無理って言われたけど、私、できましたよ!」と堂々と語れる。全部ひっくり返していける。おもしろいですよ。

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――嫌な言葉を言われたら、ついついその痛みから逃げたくて、積極的に忘れようとしていました……。

千葉:言われた瞬間は、本当につらいですよね。でもひっくり返せた経験を一度でも得られると、何度でもできるようになります。自分がやりたいことに対してネガティブな言葉をもらったら、まずは一回、「むしろやってやろう」という気持ちでやってみる。今では嫌な言葉を受け取ったら積極的に書き溜めているくらいです(笑)「覚えておいてやる~」って!

このマインドがあったから、創業当初の孤独な時期を乗り越えられたと思います。創業直後にコロナ禍になり「集まって話す」が否定された時期もありました。でも「いつかひっくり返せる」「話し方教育は絶対に必要だ」って信じて、オンラインでトレーニングを提供し続けました。

受講生のみなさんの満足した顔や、人生が変わっていく様子を見せていただいた経験が、私の想いをさらに強くしてくれましたね。今、私の中にはネガティブな言葉よりも、ポジティブな言葉が積み重なっています。

今振り返ると、弁論に出会ったときや、ここカエカという場所を作ったとき、多くの受講生が人生を変えたとき……「どんな人でも、何歳からでも、人生は変えられる」――と感じてきました。さらにその想いを発信することで、「話し方教育」の意義に共感して、自らの意志で変わりたいと思ってくれた受講生や仲間がどんどん増えてきました。とにかく楽しい。今の気持ちはその一言に尽きます。

――数々の変化にリアルタイムで立ち会える仕事。素敵ですね。

千葉:本当に光栄なことだと感じます。この学習の扉を叩いた人は、上司から「あなたは話すのが下手」とか言われたり、コンプレックスを持っていたり……。それでも、「変わりたい」「変われるかもしれない」という期待を胸にして来てくれている。それは、変わる“種”を持っているということ。私たちの仕事は、その小さな種がきれいな花として咲けるように、正しく水と肥料を手渡すことだと思っています。

――大人になると、その“種”は持っていても、それを咲かすための一歩を踏み出せないときもありそうです。

千葉:ひとりで一歩目を踏み出すの、やっぱり怖いですよね。それなら、環境や人の力に頼ってみるのもひとつだと思います。自分が目標としていることを当たり前のようにしている人がいる環境に身をおいてみるとか。そうすることで自分のマインドセットを変えるのはいいかもしれません。挑戦したい人同士で集まるのもひとつですね。お互いが頑張っているという良いプレッシャーの中でなら踏ん張りがきくことってあると思います。

――千葉さん自身が過去に「変わりたい」と願って持っていた“種”は、今どんな状態ですか?

千葉:うーん、ちゃんと、咲いていると思います。でも、もっと大きく開くことができる。話し方の学習が義務教育の中に組み込まれるくらいに浸透できたら、きっと満開になります。そのためには、種を蒔いた私が人間的にさらに大きく成長しないといけないですね。

一方で、「自分が全部なんとかしなきゃ」と思いすぎないことの大切さも実感しています。人生も仕事も、自分だけで成し遂げられることって、ごくわずか。人に支えてもらって一緒に作っていくから、ひとりでは見ることができない景色に辿り着ける。今年(2025年)の春に生まれた我が子の妊娠・出産を経て、改めてそう感じるようになりました。

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