出会えた人と成長し続けたい。ドラマ溢れるスタートアップの世界へ

坡山:もともと「30歳までに起業するぞ」と決めていたので、29歳の誕生日を迎えた翌月ごろには会社に「起業のために1年以内に退社します」と伝えました。
坡山:はい、何度も(笑)。すごく不安で、迷いに迷いました。藤田ファンドはいい意味で「もっと居たくなる」場所でした。投資した企業が上場を叶えるケースも増えてきて、このまま続ければ自分の成果とも呼べる投資がもっと生み出せるんじゃないかという期待。そして投資家として注目してもらえるんじゃないかという欲望。いろんな気持ちが自分の中にありました。
でも起業家の皆さんの成長速度を見て、このままじゃ私は置いていかれて、話ができなくなるだろうと感じました。大好きな皆さんとずっと同じ目線で話せる関係でいたい。それは自分も同じスピードで成長しないと叶わない。投資の道に行くのなら、投資業を続けて極めないと無理だと思いました。けれど私はやっぱり起業したい。だから起業家の先輩方に負けないくらい、起業家として成長しようと決めました。
坡山:スタートアップって、新しい世界を打ち立てて、みんながその方向をむいている。自分ひとりでは得られない経験や、熱量の高い人との関係性が毎日たくさん生まれやすい環境だと思います。高い給与やキレイなオフィスはなくても、まるで何かに突き動かされて進化していく有機体みたい。私はスタートアップが好きすぎるんですよね。
生きててよかったなあと思います。
坡山:転職相談にくる方が、学歴や人から評価されるキャリアの軸ではなく、自分が本当にやりたいことに初めて向き合った瞬間はドラマのようで。人が変化する瞬間に立ち会えたときにやりがいを感じますね。

▲取材当日は『Project:F』のパーカーでお越しくださいました
坡山:そうなんです。今、第一期生が起業家育成プログラムに参加している最中で、事業の着想から伴走して、ディスカッションを重ねています。
参加者の皆さんと私たちが「自分は何がやりたいのか」をとことん本気で考えた結果、起業する道がベストではないと気が付いて離脱した人もいます。それも含めて、自分が本当にやりたいことに向き合うきっかけを作れることにやりがいを感じています。
坡山:今の社会は、ルールを作る場に男性が多いと感じます。女性の意思が見過ごされている場面が多くて、この状況を変えなくてはいけないという使命感を抱きました。違和感のあるルールを自ら変え、ルールメイクできる女性を増やすことができたら、きっと世界は変わる。女性起業家はその変化をリードする存在だと考えています。
坡山:「私がやってやるぞ!」というよりは、「自分がやるのが良さそうだな」という感覚です。他にできる人がいるなら、私はやらなくていい。でも客観的に周りを見渡して、自分が適任なんじゃないかと感じたら、やりたいかどうかは置いておいて「自分だな」と。おこがましいかもしれないけれど、それが私の使命感です。
私は男女の対立を生みたいわけじゃなく、ただ、女性たちに「もっと幸せになっていいんだよ」って伝えたい。女性にも思う存分仕事をする権利がある。経済的にリッチになる権利がある。幸せになる権利がある。それが叶えにくい現状があるから、自分たちで幸せになる方法を考えて、みんなで世に広めていこうよ、と思っています。