自分の直感とチームの力で、気づけばずいぶん遠くまで

画像: 自分の直感とチームの力で、気づけばずいぶん遠くまで
――さえりさんは20代のうちに「書くこと」というご自身の軸を見つけ、キャリアをどんどん拡張させていった印象です。30代に入った最近は、どんなお仕事をされていますか?

夏生:いまは映画や映像コンテンツなどの企画やストーリーをつくる仕事が、全体の8割を占めています。関わり方はさまざまで、映画一本分の脚本を書いたり詳細なキャラクター設定から考えたりすることもあれば、すでにある土台に意見をお伝えして構成を整えていくという限定的な関わり方のことも。コピーやエッセイなどこれまで通りの仕事もしていて、「書くこと」という仕事の軸は変わっていないけれど、コラムや取材記事などを中心としていた20代前半に比べると、「書くもの」のジャンルは大きく変わったと思います。

――これほどストーリーライティングを中心に活動していくビジョンは、昔からあったんですか?

夏生:ありませんでした。素敵な人や場、お仕事と出会いながら、ただただ面白そうな道を選んでいるうちに、いつのまにか映画の脚本まで……。気づけばずいぶん遠くまで来られたなぁという印象です。

ただ、ひとつ転機を挙げるとすれば、2019年にYouTuberのあさぎーにょさんの動画企画に参加したことだと思います。今の会社の企画チームから「タイムループ もので20分の脚本を、一緒に書きませんか?」と誘ってもらった当時、私は恋愛もので最長5分ほどのストーリーしか書いたことがなかったんですね。だから、実績から考えればできる気がしなかったんだけど、絶対に面白そうだと思ったから「やります!」と答えました。

※タイムトラベルを題材としたSFジャンル。同じ期間を何度も繰り返すような設定を持つ作品のこと

――経験のないことにチャレンジできるって、すばらしいですね。

夏生:「さえりさん一人で書いてください」という依頼だったら、怖くてお受けできなかったと思います。実際、個人のほうでは、自分一人で確実にやりきれる仕事以外を受ける勇気がありませんでした。でも「チームで一緒に書こう」というお誘いだったから、挑戦することができた。難しかったけれど本当に楽しかったし、楽しめているから全力も出せました。誰かと一緒にやるからこそ、よりよいものが生み出せたと思うんです。

――目の前の楽しそうなことをちゃんとキャッチして、しっかりチャンスをつかむ。その繰り返しで、自分でも想像していなかった「自分らしい仕事」や「自分らしく働ける場」を手に入れたんですね。

夏生:じつは大学で就職活動をしていたときは「私が私らしく働くためにはどうしたらいいんだろう?」と考えすぎて、一度歩みを止めてしまったこともあったんです。「自分らしく生きていく道なんてないのかも」と、しばらく引きこもってしまったりして。だけどその経験もあって、社会に出てからは「最初に考えすぎても仕方ない」と思えるようになりました。

さまざまな上司に恵まれたのも、きっかけのひとつです。20代のとき「やりたいことはある?」と聞かれて「ないです……」と答えた私に「それはすごくいいことだ!目の前のことをやりながら考えればいいんだよ」と言ってくださった方もいました。そんなふうに自分のやれることを少しずつ積み重ねてきた結果、いまがあると思っています。

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