他人の人生が見える時代だからこそ、自分に矢印を向けてみて

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―ここからは少し広く、児玉さんの世代についてお話を伺いたいと思います。いわゆるZ世代・ミレニアム世代の狭間にいる児玉さんは、自分たちをどういう世代だと感じていますか?

児玉:SNSが普及している分、興味のあることに触れたり、好きなことを発信し続けてそれを仕事にする生き方は叶えやすい世代だと思います。以前は「ゆとり世代」などと呼ばれ、ネガティブなことを言われ続けてきた逆境を、自分の力で跳ね返せるのは、一つの強みなのかもしれません。

―なるほど。では児玉さんの世代ならではの悩みは、どんなものだと感じていますか?

児玉:すぐに思い浮かぶのは、SNSでの誹謗中傷ですね。先日もあるYouTuberに対する心ない言葉がSNSで流れてきたのを目にして、「なぜそんなことを言うんだろう」って……。

SNSって、他人の成功や幸せな面を目にすることが多いので、「自分はそうじゃない」と感じてしまったときの挫折感やしんどさが大きいんじゃないかと思うんです。その気持ちが自分の中で沸騰して収められなくなり、他人を傷つける行動につながったりする。傷つけられた人は傷つくし、傷つけた人もまた傷ついている。これって、昔はなかったサイクルですよね。

SNSの普及は、メリットも大きいですが、負の感情や連鎖を生み出すという点ではデメリットも小さくない。SNSとの付き合い方をきちんと考える必要があると思います。

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―すごくわかります。いま、そうした悩みを抱えている人にとって必要なのは、どんなことだと思いますか?

児玉:なによりもまず、“自分に矢印を向けてほしい”と思います。そして、自分が楽しい、嬉しいと思えるようなことをしてみることです。

たぶん、SNSを見ていて過度に憧れたり、嫉妬したり、そういう感情が湧いてくるときって、矢印が自分ではなく他人に向いていると思うんですよね。マイナスの感情は、新たなマイナスの感情を連れてきてしまいます。だから自分に矢印を向けて、自分が好きなことと向き合って楽しめていれば、そこまで他人が気にならなくなるのではないでしょうか。

私にとってはそれがトレーニングや運動でしたが、料理や読書でも、なんでもいいと思うんです。同じ趣味を持つ人同士が集まって、仕事でも家庭でもないコミュニティを作ってみたり、そこから新しい何かを考えてみたり。行動すればなんでもできる時代だからこそ、自分の“好き”の延長線上にある成功体験をつくって、それをどんどん広げていってほしいなと思います。

―「自分に矢印を向ける」、とても大事な考え方ですね。最後に、そんな時代だからこそ、児玉さんは今後どんな自分を貫いていたいですか?

児玉:私の心には「祖母のように生きたい」という想いがあります。

祖母は、まだテレビが白黒だった時代にモデルとして「海外に挑戦する」ことを決意した女性です。当時は「日本人が海外でモデルになるのは難しい」と言われ、周りからも無理だと反対されたと聞きました。でも、祖母は自分の挑戦を決して諦めなかった。私はそんな祖母を尊敬しますし、誇りに思っています。

進路に悩んだ学生時代には、「凛来は世界に羽ばたくんだから、自分がいいと思った道、興味のある方に進んでいけば大丈夫。もしそのとき、私がいなくても空から見守ってるからね」と言ってくれた。

今も変わらず応援してくれる祖母に誇れるよう、自分に対して嘘偽りなく、好きだと思えるものを追求したい。そして等身大の自分でどこまでいけるのか、挑戦を続けていきます。

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画像: トレーニングは、自分の「身体」だけでなく「内面」も変えていく。トレーナー・児玉凛来

児玉凛来

フィットネスの大会出場をきっかけにトレーニングを始める。トレーニングや食事管理を通し、自分自身と向き合う過程で "身体が変われば心も変わる"ことを実感。現在は独立しフリーのパーソナルトレーナーとして活動。 呼吸を整え、姿勢を改善することで慢性的な身身体の歪みを改善し、それぞれのライフスタイルがより豊かになるように導いている。 トレーニングを日々の習慣や、自分を整える手段としてもっと身近に感じてほしいという想いから、"フィットネスをライフスタイルに‼︎"をモットーとしている。

取材・執筆:郡司しう
編集:山口真央
写真:梶 礼哉

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