誰とでも分け隔てなく接し、多くの人に活力と元気を与える。その人がいるだけで、場がぱっと明るくなり、笑いが絶えない。今回の“ミモザなひと”DAIKIさんは、間違いなくそんな太陽のような人だった。
ダンサーとして活動してきたDAIKIさんの身長は128センチ。「低身長症」とも呼ばれる難病・軟骨無形成症という先天性疾患を抱えている。しかし、そんなハンディキャップはどこ吹く風とばかりに、代表理事を務める団体「SOCIAL WORKEEERZ」の活動を牽引し、2024年にはNHK大河ドラマ『光る君へ』で俳優としてもデビューを果たした。
「つらい経験を語るより、かっこいい生き方を見せたい。僕だからできることがある」
そういってまっすぐに前を向く彼の言葉は、悩みながら生きるすべての人の心に力強く響くだろう。やさしい世界を実現するために、DAIKIさんが描く未来とは。
幼いころから感じていた「障害を扱う番組」への違和感
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DAIKI:大河ドラマ出演を機に、2024年から俳優として活動を始めました。何万人もの人が目指すような舞台でデビューできるなんて、本当に嬉しかったし、つくづく自分は強運だなと感じています。
DAIKI:小学校高学年から「有名人になりたい!」と言い続け、ダンスを始めた頃から表現することが大好き。そんな自分にとって、俳優業は興味しかない世界でした(笑)
とはいえ、自分で「俳優になろう!事務所に所属しよう!」と思ったわけではありません。
昨年、SNSを通じて「芸能のお仕事に興味ありませんか」というメッセージをいただいたんです。最初は怪しすぎると思ってスルーしていましたが、2日くらい経って、めちゃくちゃ熱い “追いメッセージ” が送られてきて。
「一度話を聞いてみようかな」と思って会ったのが、いまの障がい者専門芸能事務所アクセシビューティーマネジメント代表の臼井さんです。そこでお互いのビジョン、理想とする世界の話をしたのがきっかけでした。
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DAIKI:例えば、障害や病気を扱う番組は、苦労や辛さばかりに焦点を当て、とにかく「感動的」なつくりのものが多いと感じていた。僕はそこに小さな頃から違和感がありました。
たしかに苦労はある。でも、それを乗り越えて仲間と楽しんだり、好きなことに打ち込んだり、夢を叶える人も多い。少なくとも、僕が観たいのはそんな番組なんです。
そんな思いから「僕のような人間があたり前に映画やバラエティに出る世界をつくりたい」「障害者だから、ではなくDAIKIだから面白いと思ってもらいたい」という話を代表にしたところ、お互いに似たような思いを持っていて、めざしている世界が近いこともわかった。
意気投合して、すぐに事務所に所属。大河のオーディションに繋げていただき……いまに至ります。
DAIKI:まず、共演する大ベテランの俳優さんたちの気遣いに感動しましたね。カメラが回っていないところで話かけていただいたり、出演シーンではアドバイスをくださったり。
あとは、体の特性があっても、しっかりと自分なりの工夫を伝えれば受け入れてもらえるということを学びました。
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DAIKI:そう、たとえば畳に座っているシーンの収録のときです。平安時代って男性は基本的にあぐらをかく文化らしいんですが、僕は足の形が理由であぐらがかけない。正座も、20秒くらいで足が痺れてしまいます。
ただ僕としては、日頃から「難しい状況で代案を出せてこそプロフェッショナル」という意識を持っています。ダンサーとしてもずっとそうしてきました。だからその時も、代案として「膝立ちはどうですか?」と監督に提案してみたんです。そしたら、「いいね!」と言って、そのシーンの方向性が決まりました。
自分にできることをしっかり考えて伝えれば、受け入れてもらえる。クランクアップまでの間、それが自分にとって一番の自信になったような気がします。
DAIKI:どんな場面でも、「できない、どうしよう」じゃなくて「これならできます!」と伝える力は本当に大事だと思います。気合いを入れて「立ちっぱなしでもいけます!」とも言ったんですが、「それは目立ちすぎ」と笑いながら却下されましたけどね(笑)
でも、そういうキャッチボールを積み重ねることが、作品を一緒に作り上げるということなんだろうと。それは大河ドラマの現場を経て大きな経験になりました。