バイトの面接で全敗。だから “DAIKIブランド” にシフトした
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DAIKI:高校生のときにアルバイトの面接を受けに行って、35件中30件は書類も見ずに断られ、残り5件は面接には呼ばれたものの、僕の体を見た瞬間に不採用が決まりました。自分の中でもある意味、伝説になっている出来事です。そのとき、「一体自分は、なぜこんなに必死になってるんだろう」って感じて。
というのも、自分の生き方を決めるはずの場面で、自分以外の誰かの判断に左右されてしまっている感覚がしたんです。
そんな経験を通して、「将来は好きなことや得意なことでお金を稼いで、他者の評価に左右されない生き方をしよう」と。そこで初めて「自分自身をブランドにする」という考えが自分の中で生まれました。
「NIKE(ナイキ)ならぬ、“DAIKI(ダイキ)”だ」ってね(笑)
DAIKI:最初はそうでした。でもいまは僕一人の話だけでもなく、僕の生き方を通じて周りの人たちのマインドを変えたり、同じ病気を抱えている子たち、障害を持つ人たちにも影響を与えるものだと思っています。
ただ、気をつけなければいけないのは、「ひとつの病気」ばかりに注目するのはよくないということ。たとえば僕の場合、低身長症についてもっと知ってもらいたいとは思います。でも、「すべての道具を128cmの人に合うように開発しよう」という考え方では、世界は豊かになりませんよね。むしろ低身長症以外の多くの人が、困るでしょう。
僕が「DAIKIブランド」を知ってもらいたいのは、僕の障害に基準を合わせてもらいたいからではなく、たとえば高い場所にある物を「取ってください」「いいよ」という関係性が、もっと気軽に築ける社会になってほしいからなんです。
DAIKI:そうですよね。僕を見ていると、きっと何か気づくことがあると思うんです。
たとえば僕が銭湯でお風呂に入るときはヘリを乗り越えられないから、助走をつけて走って飛び込むとか、旧式の縦型の深い洗濯機には、頭からハマっちゃうと抜け出せなくなるとか。
大学のときに洗濯物を取り出そうとして洗濯機の中に落ちて動けなくなっちゃって。見つけた人は「足だけ出てる!どうしよう」って大騒ぎ(笑)。その事件で寮の洗濯機が全てドラム式に変わりました。
僕を通して、低身長症の人たちが「こんなふうに生活してるんだ」「こんなことに困るんだ」ということを知ってもらう。その視点がもてれば、ほかの障害や特性に対してもやさしい目線を送れるようになると思うんです。特別視するのではなく、「そうか、あなたにはそんな特徴があるんだね」って。