当たり前じゃないことを、当たり前にしたいから

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―DAIKI さんが現在代表理事を務められるSWZ。 「 ダンスやエンターテインメントを通じて“きっかけ”をつくるインクルーシブデザイナー集団 」 を掲げ活動をされています。

DAIKI:SWZは、障害をもつ子どもたちにとって、選択肢になる場所、幸せに過ごせる場所にしたいという思いで運営しています。というのも、障害を持つ子の多くはダンスの技術や表現で悩む前に、身体的な理由からダンスを諦めてしまうことが多いんです。

例えば、レッスンに行きたいけど階段しかない建物だ、耳が聞こえないから先生の言うことがわからない、そもそもレッスンを断られた――。

僕自身も一人の障害者として、同じような経験があります。14歳のとき、つるんでいた不良仲間からダンスを教えてもらい興味を持ったものの、最初に訪れたダンス教室では「DAIKIくんには難しいと思う」と言われ、入会させてもらえませんでした。

そんな状況を変えたいと思ったとき、「だったら僕がそういう場所を作ればいいじゃん!」と気づいて。ダンスだけにとどまらない、障害者が働くカフェや、サイズに悩まないアパレルショップ、車椅子のまま滑れるすべり台なんかがある。いままでどこにもなかったような、インクルーシブな空間の複合施設を……。まだ夢ですけどね。

―素敵なアイデアですね!実際に、その複合施設をつくる計画をされているのですか?

DAIKI:いま僕が30歳なので、5年後、35歳でそんな施設が作れたらいいなと。SWZが、参加してくれる子たちにとって幸せな選択肢になるような場所にしたいんです。

一方で、俳優業を含めて僕自身がやりたいことも諦めませんよ。どちらもできることが幸せだから、あと5年、その両方を追いながら一気に走り抜けたいですね。

実は僕、いま体調が絶好調とは言えない状況にあります。「数年後には踊れなくなるかもしれない」と医師からは言われている。だから、5年後に施設を作り上げてダンサーを引退するっていうのが、いまのちょっとした夢です。それで、「え〜、まだ体動くのにもったいない!」とか言われたいなって(笑)。惜しむ言葉に対して「俺、もう次のフェーズに行くから」なんて、颯爽と後にしていく感じ、かっこよくないですか?

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― その情景が目に浮かびます(笑)。DAIKIさんの語る未来ってすごく具体的ですよね。そういうビジョンは、どんな想いから生まれるんでしょうか?

DAIKI:いちばんは、「当たり前じゃないことを、当たり前にしたい」ということ。障害があってもなくても皆がお互いを受け入れる世界です。子どもの頃につらい経験をしてきたから、ほかの人に同じ気持ちを味わってほしくないし、そうじゃない社会を当たり前にしたい。

そのためには、つらい経験ばかり伝えてもしょうがないと思うんです。それよりも、僕がやりたいことをやって、どんどんすごい人になっていったら障害者の「当たり前」が変わると思うんです。「DAIKIにできるなら俺も」って思えるじゃないですか。

なにより、一人の人間としてかっこよく生きたい。障害を感動コンテンツにするんじゃなくて、ただ「DAIKIってかっこいいな」と思ってもらえる生き方を続けたいなと。

― 先ほど「不良仲間」にダンスを教わったとおっしゃっていたのですが、DAIKIさんにもそんな時期があったんですね……。
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DAIKI:「DAIKIってかっこいいな」って思ってほしい、と言っておきながら、めっちゃカッコ悪い話ですよね(笑)

ただ、不良の道に進んだのは自分の病気に向き合って必死にもがいていたからだと思います。小学校4年生のとき、授業中にパソコンで検索して自分の病気のことを知ってから、だんだんと教室に行くのがイヤになってしまった。それから何を目的に生きているのかもわからないし、なんで僕だけこの病気で生まれてきたのかって。

中学に入って、僕が学ランのボタン全開で風を切って歩いていたら、「堂々として、かっこいいな」って言ってくれた子がいて。そこで初めて、病気に一切触れずに自分のことを見てくれる友達に出会った気がしたんですよ。僕も、アホみたいにまっすぐだったので、「その子たちと仲良くなりたいから、不良になろう」みたいな感じでその道に……。

― ご家族はどんな反応でしたか?

DAIKI:受け止めてくれていたと思います。僕は母子家庭で育ちましたが、うちのおかんは母親というより親友みたいな感じなんですよ。

先生の指示通りに動けなくてダンススクールの入会を断られたときも、「お前の魅力がわかってないわ!次いこ、次!」という感じで、僕が「やりたい」と言ったことは全部背中を押してくれた。

だから、やんちゃしてた時期もずっと仲は良かったです。「後悔すんなよ」みたいな感じでしたし、「俺、有名人になるわ」って言ったときも「がんばれ!」って。たったひとつのルールは、「警察の世話にはなるなよ」でした(笑)

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