「0点だったよ!」と目を輝かせる息子。隠さなくていい安心が、家族を楽しくする

画像: 「0点だったよ!」と目を輝かせる息子。隠さなくていい安心が、家族を楽しくする
――想像を超えるエピソードの数々。東儀さんの周囲の方々は毎日驚きっぱなしではないですか?

東儀:そうですよ。でも家族はもう慣れていますね。妻は「あなたならそうでしょうね」という様子。ちっちは「そこまで強く器用に生きられないなあ」と感心しています。だけどそういう人間にいつかはなりたいとも言っていて。世界で一番尊敬するのが自分の父親だと、彼はインタビューを受けると堂々と語るんです。「人生とはこうだ」みたいなお説教はしないから、普段の生活でにじみ出たものが伝わっているのだと思います。

ちっちは、僕に対して不思議と敬語で話すんですよ。「父上」と呼ぶし。すごく厳しく育てていると誤解されるぞと言っているのですが、彼にとってはそれが居心地がいいみたい。

――尊敬と安心があるご家族、素敵です。親も子も、時を経て変わっていくことがあると思いますが、居心地のよい関係を変わらずに築けているのはなぜでしょうか?

東儀:ちっちが赤ん坊の頃からのコミュニケーションの積み重ねが、今につながっていると思います。ちっちに何かあればすぐに駆け寄っていましたし、言葉が話せるようになってからは、「ねえねえ」と話しかけられた瞬間、僕はすべての作業をやめて「なあに」と話を聞きました。どんなにいい曲が浮かんでいる時でも、必ず。彼の話を聞くことが、どんなことよりも大事だし、楽しかったから。

――楽しんで、耳を傾ける。

東儀:隠し事がないことも、いい関係が続いている理由のひとつだと思います。ちっちは、0点の答案用紙を「0点だったよ」と目を輝かせて持ってくるんですよ。僕が子どもの頃は、テストで悪い点をとったら、ランドセルの奥に隠していました。怒られるからね(笑)。でも僕はちっちに「そうか、アンラッキーだったなあ。次はもうちょっといい点数を取れたらラッキーだね」と言って終わり。「〇〇くんは算数100点だったよ」と言われたら、「〇〇くんは算数が得意なんだね。ちっちは算数が不得意かもだし、これはしょうがない」と返す。

嫌なことがあったら、どうしてそうなったのか二人で考える。悪いところはちゃんと指摘して「今度はこういう言葉を選ぶといいかもね」と言ったり、なにも悪くないなら「胸を張っていいんだよ」と伝えたり。聞いて、話して、一緒に理解していく。ずっとそうやってきて、「この人は何でも吸い取ってくれる」と感じたのか、ちっちはどんなことも話してくれています。

――そうして育った“遠慮しなくていい安心”が、今も続いているのですね。

東儀:「親と一緒にいるのが楽しくてしょうがない」とも言ってくれます。中高生くらいだと、親と買い物にいくのが恥ずかしいという子も多いだろうに、彼はよく一緒に出かけているし。10代の時期にある……家族のコミュニケーションが上手くいかない、あの……。

――「反抗期」ですか?

東儀:それだ。いつも思い出せない。ちっちは「反抗期はないし、なぜそうなるのかもわからないくらいだ」と言っていますね。

――「反抗期」という言葉が思い出せないくらい、東儀家にとっては縁遠いことなのですね。

東儀:飽きもせず毎日、自然と家族全員で集まってごはんを食べて、時間が経ったらまたダイニングに戻ってきてお茶をしている。とにかくおうちが一番な家族。僕も遠くで仕事をした日は、1本でも早い新幹線に乗って帰りたくて駅まで走っちゃうんですよ。

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