「もっと出来ることがある」。 人生を変えた「ボランティア・スピリット・アワード」

画像: 「もっと出来ることがある」。 人生を変えた「ボランティア・スピリット・アワード」
――肌で感じた、ホームレス問題。炊き出し参加後はどのようなお気持ちの動きがあって、活動につながっていったのでしょうか。

川口:中学生の自分に何ができるか、炊き出しに参加してからずっと考えていました。そんなときに知ったのが、同年代の子どもたちがホームレスの人たちを襲撃した事件。「攻撃してもいい人だと思った」という犯人のコメントを聞いて、思ったんです。大人から「ダメなことだ」と言われるよりも、歳の近い自分がおっちゃんたちの実情や社会の問題を伝えたほうが、伝わることもあるんじゃないかって。

その思いで、校内で作文を読んだり、炊き出しに行く人を募集したり、他校の方も巻き込んでホームレス問題について考える合宿の企画をしたりといった活動を中学、高校で続けていきました。

そして高校2年生のとき、校内ポスターで「ボランティア・スピリット・アワード(プルデンシャル・グループ主催)」を知り、応募してみたんです。社会課題に取り組む中高生が活動を発表し、情報交換、交流するプログラム。たくさん応募があるようだったので、自分がどこまでいけるかは想像できませんでしたが、賞金も出るし……一度チャレンジしてみよう!と応募しました。

――見事、全国約3,000組の応募から、2名しか選ばれない米国ボランティア親善大使に選出され、アメリカでの表彰プログラムに招待されています。
画像: ▲米国親善大使としての授賞式写真

▲米国親善大使としての授賞式写真

川口:びっくりしましたね。出場していたほかの組には、ホームレス問題に取り組んでいる方がいなかったので比べようがなかったですし、数年連続で応募している方もいました。でも、ありがたいことにワシントンD.C.で各国の親善大使と国際交流をする機会をいただけました。

国際交流の中でも衝撃を受けて。海外の同年代の参加者はみんな予想以上にスケールが大きくて、寄付をたくさん集めて、企業とも連携して活動していたことです。私はそれまで「中高生ならこのくらいのことができそう」と自分の延長線上でしか活動できていなかったので、もっとできることがあったのではないかと反省しました。

もっと根本的にホームレス問題を解決するために、何をする必要があるのか。改めて考え、高校3年生のときに描いたのが、「夢の間取り図」です。

画像: ▲夢の間取り図(ご本人提供)

▲夢の間取り図(ご本人提供)

川口:相談に来た日からゆっくり泊まれる個室があって、あたたかいご飯が食べられて、日払いの仕事がある。「とりあえず、あそこに行けばなんとかなる」、そんな場所を作るのが私の夢になりました。

――現在の活動の原点は、こうして生まれたのですね。

川口:そうですね。そう考えると、ボランティア・スピリット・アワードでの経験は人生を変えてくれたと思います。中高時代の活動の中で、自分の力だけでは行き詰った感があった私に、「もっとできることあるやん」と思わせてくれるきっかけになりました。

参加したことで孤独感が和らいだのも大きかったです。当時は親にも言わず活動していたので、全国各地で、世界各地で頑張っている同年代がこんなにいることに気づけて嬉しかったです。受賞後も主催のプルデンシャル・グループの皆さんが講演に呼んでくださったり、サポーターになってくださったり、ずっと応援してくれる存在ができたのは心強かったです。

……実はHomedoorを起業するきっかけになった人に出会ったのも、このアワードの会場だったんですよ。

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