「承認欲求」に振り回されない生き方とは

画像1: 「承認欲求」に振り回されない生き方とは
――好きなことを追求し、いまではやりたい仕事を通して「自分らしく」活躍されています。でも、その道程は決して平坦ではなかった。それでもやりたいことや夢に真っ直ぐ向かいってこられたのはどうしてだと思いますか?

福井:それは、「自分に素直に生きる」ことを大切にしてきたからだと思います。誰に何を言われても構わない。ときには、間違ってるよ、なんて言う人も現れるかもしれません。でも、他人のスタイルややり方が僕に合うかどうかはわかりませんよね。だから、自分に素直になる。そんな風にシンプルに考えれば、どんな状況に陥ったとしても自分を見失うことはないので、悩みや不安も最小限に抑えられるのではないかと思います。

それと、「好きなことを見つけよう」ってよく言われますけど、じゃあ、僕がやっていることも、厳密に言うと好きかどうかわからないわけです。インテリア業界を選んだのだって、大学生のときにたまたま選択するタイミングが訪れて、食べていける可能性が高そうだと思ったからで、自分に合っているのかどうかさえ、未だにわかりません。

でも、僕のデザインを支持してくださるお客さまが大勢いる、その事実によって、「この仕事は自分に合っているのかもしれない、好きなことなのかもしれない」と思えるんですよ。

だから、好きか嫌いかよりも、とりあえず自分が興味を持てるものを素直に続けることが結果につながるのではないか、と思います。

――そういう意味で「自分に素直に生きる」んですね。

福井:そう。だから周りに合わせすぎない、左右されないことが大事だとも感じます。たとえば、髪型を決めるとき、流行りを参考にする人っていますよね。でも、流行りじゃなくて、自分に似合うかどうかが重要だと思うんです。旅行先を選ぶときも、本当に行きたいところじゃなくて、「映える場所」を選ぶ人がいますけど、そうじゃなくて、自分の行きたいところに行ってほしい。

誰かにとって価値があることではなくて、自分にとって価値のあることが大事なんです。

――「誰かにとって価値があること」を選択してしまうのは、その誰かに承認されたいという気持ちが強いからかもしれません。それは「自信のなさ」とも言い換えられます。

福井:承認欲求は誰にだってありますよね。でもそれって、ザルみたいなものだと思うんです。人によって小さかったり大きかったりするし、穴の大きさも異なる。ザルが大きすぎたら、いくら「承認」されても満たされないし、ザルいっぱいに「承認」が満たされたとしても、穴が大きければどんどんこぼれ落ちてしまう。だからそこに囚われる必要はないなと。

そして、このザルのサイズや穴の大きさを決めるのは、家庭環境なのかもしれません。否定されて育ってきた人は、どうしても承認欲求が強くなり、常に他者の承認を求めてしまいます。

ただ、ずっとそのままなのかというと、そうではないとも思います。仮に家庭で否定されながら育ったとしても、大人になって社会に出たときに、そこで出会う人たちにありのままの自分を受け入れてもらえたら、承認欲求に囚われなくなっていけるはずです。

だからこそ、自分に素直になって、「私はこう思う」と周りの人に伝えてほしいんです。勇気がいることかもしれませんが、それを繰り返して賛同してもらうことで、自分に自信が持てるようになる。

そうなったとき初めて、他人の承認や軸ではなくて自分の価値観、つまり「自分に素直に生きられる」ようになるのかなと思うんです。

画像2: 「承認欲求」に振り回されない生き方とは

画像: 「他人の評価に左右されず、自分の人生を設計する」。
デザイナー福井直人さんが実践してきた、自分に素直な生き方

福井直人

1982年、名古屋生まれ。税理士を志し大学で経営学を専攻するも、自身の将来を見据えてインテリアの道へと進む。IDC大塚家具での勤務を経て、バンタンデザイン研究所に入学。その後、京都、東京のアトリエ事務所で経験を積み、2012年に「エン インテリアデザイン」をスタート。現在は名古屋を拠点に全国で活動し、店舗だけではなく、建築ディレクション、プロダクトデザインの業務まで幅広く手掛ける

取材・執筆:イガラシダイ
編集:山口真央
写真:梶 礼哉

This article is a sponsored article by
''.