迷ったら「困難な道」を選べ、の意味

画像: 迷ったら「困難な道」を選べ、の意味
――ベストセラーとなった最新作『君のお金は誰のため』は、お金に関する知識を小説形式で綴っているのがとても印象的です。30万部という数字は、ビジネス書籍として“快挙”と呼べるのではないでしょうか。

田内:「老後の不安」やインフレなどの経済面の問題を解決したいと思ったとき、まずはひとりでも多くの人にお金の正しい知識を持ってもらう必要があります。だから、30万部という数字はまだ道半ば。ぼくとしては100万部を突破してもらいたいんですよ。

小説形式にしたのも、幅広い層に届けられるのではないかと思ったからです。ビジネスの内容でベストセラーを記録した『嫌われる勇気』や『夢をかなえるゾウ』なども、わかりやすい小説形式で書かれています。だからぼくも、と思ったんですが、佐渡島さんからは「小説を書ききるのは大変だよ」と言われましたね。でも、やってみたかった。

しかも、ようやく完成して、あとはゲラにするだけという段階で、一度すべて捨てて書き直しているんです。

※印刷前のチェック用校正紙のこと。仮刷り

――え! どうしてですか?

田内:佐渡島さんに読んでもらったときに、「もう一度書き直したら、もっと上手に書けるはずだ」と言われたんです……。悩んだ末に、よしやってみよう、と。苦労しましたが、結果として内容はブラッシュアップされましたし、こうして広く読んでもらえているので、諦めないでよかったなと思っています。

――同じ執筆家としては「もったいない!」と思ってしまうと同時に、よりよくするためには「もったいない」も厭わない田内さんの姿勢が伺えます。
田内:ぼくが大切にしてきたのは、「迷ったら困難な道を選ぶ」ということです。これは高校3年生の頃、数学の先生に言われた言葉でした。以前、ミモザマガジンの根ほり花ほり10アンケートでも皆さんに同じメッセージをお伝えしていますね。

もしも目の前に「楽な道」と「困難な道」があったとして、やりたいことが楽な道の方にあるとしたら誰も迷わないわけです。ぱっと選べるはず。でも、そこで迷うということは、本当にやりたいことは困難な道にあって、だけど困難であることがわかっているから踏み切れないということです。
だからぼくは、この言葉を信条にしてきました。

佐渡島さんから「小説を頭から書き直したら」とアドバイスされたときも、その時点のもので満足しているならば迷わなかったはず。でも、ぼくは迷ってしまった。つまり「書き直したほうがきっとよりよくなるはずだ」と自分でも気付いていたんですよね。

ゴールドマン・サックスで働き始めて現在に至るまで、ぼくはそうやって困難な道を選び取ってきたことで様々なご縁がつながり、今の自分がいるのではないか、と思います。

This article is a sponsored article by
''.