誰もが「ちがう」想いや悩みを持って⽣きています。でも、もしかしたら誰かが導き出した答えが、あなたの答えにもなるかもしれません。「根ほり花ほり10アンケート」では、さまざまな業界で活躍する“あの人”に、10の質問を投げかけます。
今回は、株式会社コーチェットCEOの櫻本真理さんが登場。きっと、「みんなちがって、みんなおんなじ」。たくさんの花のタネを、あなたの心にも蒔いてみてくださいね。
櫻本真理
株式会社コーチェット代表取締役
2005年に京都大学教育学部を卒業後、モルガン・スタンレー証券、ゴールドマン・サックス証券(株式アナリスト)を経て、2010年より複数のスタートアップの立ち上げを支援。
2014年にオンラインカウンセリングサービスを提供する株式会社cotreeを設立。2020年にコーチング型トレーニング事業を提供する株式会社コーチェットを設立。2022年日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー受賞。エグゼクティブコーチ、システムコーチ(ORSCC)。
①今の仕事に就いた経緯は?仕事のやりがいや楽しみは?
新卒で入った外資系証券会社でお金のことを考え尽くし、お金だけでは人は幸せになれないと実感しました。その後メンタルヘルスケアの会社を起業し、心の豊かさには経済的豊かさが伴っている必要があることに気付かされました。
お金と心、どちらか一方を追求する不幸をたくさん見る中で、これらをともになり立たせるのは「つながり」であるとも感じたことを機に、2社目であるコーチェットを立ち上げ。コーチェットでは、リーダー向けマンツーマン研修を中心に、「お金」「心」「つながり」を三位一体で健やかかつ豊かに育むことができるリーダーの育成に取り組んでいます。
やりがいを感じるのは、トレーニングを受けてくださった方が「人生が変わった」とすら言ってくださるほどに喜んでくださったり、学生を含む若い方が学びを得て人生に活かしてくださったりすることです。それをチームのメンバーと一緒に喜ぶ瞬間に楽しさ・嬉しさを感じます。
②これまでの自分の人生にキャッチコピーをつけるなら?
「みなさんのおかげです。」
私自身は本当に記憶力が悪かったり計画がたてられなかったりしてポンコツ度合いが高いのですが、私と関わってくださる方々がことごとく支えてくださってここまで生きてきました。ただただ、おかげさまで生かされてきた人生です。
③今までに人生の分かれ道に立ったとき、どう考えてどう決断してきた?
世界から「必要とされている」というメッセージはできるだけ受け取って、まずはやってみるようにしてきました。何かを意識的に排除したことはありません。進学・就職・結婚・起業と大きな転換点を振り返ると結果的に、早く出会ったものや人によって人生が決められてきましたが、これらが全て繋がってきているようにも感じています。
④休日明けの朝、仕事に行きたくないと感じることが多いです。そんなときどうしますか?
行きたくない理由がなぜなのかを考えます。身体的な疲れなのか、感情的な不安定さなのか、仕事に意味を感じられていないのか、タスクに圧倒されているのか、嫌な人がいるのか。考えても消耗するだけのことは考えるのをやめて、解決できる問題はどうやって解決するかを考えます。
⑤仕事において、やりたいことや目標がみつかりません。そんな自分はダメでしょうか?
日本人の半分は、やりたいことや目標を持っていないとも言われています。なので、やりたいことが見つからないあなたは「ごく普通」です。でも、この質問の背景に「やりたいことがある自分でいたい」とか「目標設定してイキイキ動いていたい」とか「普通でいたくない」という思いがあるのであれば、それはあなたの「願い」ですので、向き合ってみたらいいと思います。
あなたは、やりたいことがないのではなく、今までの人生の中で「やりたいことを願ってもどうせ叶わない」という絶望を体験して「やりたいことなんてない」と自分を守ろうとしているだけかもしれません。じっくりと向き合えば、あなたにも必ず「願い」はあります。それを大切にするのは意味があると思います。
⑥将来に対して漠然とした不安を感じてしまいます。どんなマインドを持てばいいのでしょうか?
不安の解像度を上げて、金銭的な不安、関係性の不安、自己実現の不安など、どの期間でどんなことが起こることを恐れているのかを明確にします。その上で考えるべきは、不安の裏側には必ず存在する「願い」です。不安のままにしておくのではなく、同じ内容を「願い」として言語化してみてください。
金銭的な不安の裏側にある願いは「将来お金のことで悩まず安心して暮らしたい」。関係性の不安の裏側には「身近な人と良い関係性を築きたい」。自己実現の不安の裏側には「自分の強みを活かしたキャリアを築きたい」という願いがあるかもしれません。
これであなたは「やりたいこと」を発見しました。その願いが叶った状態は具体的にどんな状態か?それを実現するために何をすればいいのか?をタスクに落とし込んで、小さくても成功体験を積んでいきましょう。
⑦お金と時間の使い方のこだわりについて教えて下さい
私は、お金と時間以上に「心理的リソース」の使い方を意識しています。自分の長期的な未来にとって、心理的な満足やポジティブ感情、自己効力感などの心理的リソースを最大化するような「心」の使い方は何なのかを考えます。心理的リソースを豊かに持つために、お金と時間を使う意識を持たないと、コスパ・タイパに振り回されて効率性に支配されることになりかねません。
⑧過去の自分にメッセージを送るなら?
焦らなくていいよ。何よりも自分と周りの人を大事にすることに、お金も時間も心も使うように。
⑨将来どんな暮らし、生き方がしたい?
心を豊かに持って、自分と周りの人を大切にして、ワクワク笑って暮らしたいですね。
⑩櫻本さんにとって、「自分らしく働く」とは?
自分のできること・できないことを受け入れて、人とうまく支え合いながらお互いに感謝しあって活かしあって働けている状態。自分が好きなことや、大切だと思えること、価値を感じられることにワクワクしながら働けている状態。
不安の裏側に存在する「願い」、という言葉にハッとさせられました。漠然とした不安を抱えるのは、うじうじ…悶々…とストレスが募るばかりなので大嫌いだったのですが、自分の「願い」に向き合うんだという姿勢で考えることができたら前向きに一歩が踏み出せそうです。⑦で回答いただいた「心理的リソース」の考え方もとても素敵で、そしてとても大事ですよね。記事を読んだだけで櫻本さんのコーチングを体験したような気分でした。櫻本さん、ありがとうございます!