12歳の自分のため。そして、自分らしさを取り戻すために日本へ

画像: ▲ホームステイをしていた頃のアナンヤさん(ご本人提供)

▲ホームステイをしていた頃のアナンヤさん(ご本人提供)

――高校2年生のときには2週間のホームステイで、念願の訪日を経験されたんですね。初めての日本はいかがでしたか?

アナンヤ:本当に最高でした!日本のすべてがキラキラして見えて、また絶対にここに戻ってこようと思いましたね。ただ、日本語を身に付けて日本で何かがしたいとは感じつつも、具体的なプランはまったく考えていませんでした。

――その後は、どんな進路を進まれたんですか?
アナンヤ:自分に何ができるのかわからないから、とりあえず汎用的なビジネスの勉強をしようと考え、日本人の多いコミュニティカレッジ(公立の2年制大学)に行きました。それからUCバークレー校のハースビジネススクールに進学。本当は日本に留学もしたかったのですがコロナ禍で叶わず、卒業後はマーケティング職としてAmazonに就職しました。シリコンバレーで育ってきたからテック企業は身近な存在だったし、ビジネスの最前線を学ぶにはGAFAのような大企業がいいと考えたんです。

※GAFAとは、米国の巨大IT企業のGoogle、Apple、Facebook(現Meta)、Amazon、のことを指す。

――大企業に就職されてみていかがでしたか?

アナンヤ:Amazonはすごくいい会社でしたね。大企業ならではのダイナミックな事業に関われて、学びがたくさんありました。でも、自分にはあまり合っていなかったと思います。

とくに印象的だったのは、チーム全員でストレングス・ファインダー をやったときのこと。周りはみんな「分析思考」「ロジカル」といった資質が上位だったのに、私の上位は「コミュニケーション」「ポジティブ」といったソフトスキルばかり。データドリブンの会社で、自分だけが論理的でないといわれたような気がして、恥ずかしい気持ちになったのをよく覚えています。

※米国ギャラップ社の開発したオンライン「才能診断」ツール。Webサイト上で177個の質問に答えることで、自分の才能(=強みの元)が導き出される。

チームに一人だけの新卒だったから、自分をうまく出せなかったし、完全リモート勤務の心細さもあったかもしれません。なので、自分の特性やスキルをもっと活かせる環境を探したいと考えるようになりました。

そんなとき、ようやく日本への渡航制限が解除されると聞いて、すぐに日本へのチケットをブックしたんです。

画像: 12歳の自分のため。そして、自分らしさを取り戻すために日本へ
――高校生以来二度目、7年ぶりの日本ですね。そのときには日本での就職や移住も視野に入っていたんでしょうか?

アナンヤ:いえ、まずは早く日本へ行きたいという想いだけで動いていました。1ヵ月の滞在中、最初の2週間は完全に旅行気分でしたね(笑)

ひさしぶりの日本をしばらく満喫してから、自分に合いそうな会社の経営者や日本で活動している外国人のYouTuberの方たちと会うようにして。日本で自分らしく仕事をするクリエイターを見ていると、なんだか世界が開けてくるような感覚を覚えました。

そして、私の現状は “なんか違う” と気づいたんです。間違っているパズルのピースを無理やり合わせようとしているような、他の人の人生を生きているような感覚がずっとありました。私の場合、マーケティングという職種に対しても、どこかで「エンジニアのように専門性が高いわけではない」「自分にはこれしかできないから」というコンプレックスを抱いていたんですね。

もしかしたら、もっと私らしく働く方法が日本にはあるんじゃないかと思うようになって……日本に来ることが解決策になるわけじゃないけれど、いまの状況を打破するためにできるのは、まず日本に来てみることかなって感じたんです。

――ただ、日本での仕事は平均的に給与が低く、前職よりチャンスが多いわけではありません。それでも日本に来るという選択は、大きなキャリアの決断だったのではないでしょうか。

アナンヤ:たしかにそうかもしれません。ただ、Amazonの恵まれた環境に満足して日本語もあまり使わなくなり、日本への想いも減ってきている自分に、危機感を覚えてもいたんです。だから、忘れかけた「日本に恋い焦がれた12歳の自分」を探しに行こうと。

それに、自分の人生に何かしらのパーパスがあるとしたら、それは絶対に日本に関連することなんです。だって日本に繋がることじゃないと、結局楽しいと思えないから。

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