「こんにちは、よろしくお願いします!」と、さわやかな笑みにナチュラルな日本語であいさつをしてくれたアナンヤ・ドナパティさん。インド出身/アメリカ育ちで、子どものころから日本に憧れを抱き、独学で日本語をマスター。日本への愛や語学学習のコツなどをSNSで発信してきた。

カリフォルニア大学バークレー校(以下、UCバークレー)を卒業してAmazonに就職したものの、「いつか日本に住みたい」という夢がじわじわ大きくなり、意を決して日本のベンチャー企業に転職。2023年から日本での暮らしをスタートさせた。

「日本に来て、ようやく自分の人生がはじまった気がしているんです」と話すアナンヤさんのこれまでを通じて、自分らしく生きるマインドの源泉を探っていく。


日本文化への憧れから、独学で日本語を学び、羽ばたいた

画像: ▲幼少期のお写真(ご本人提供)

▲幼少期のお写真(ご本人提供)

――まずは、アナンヤさんと日本の出会いが知りたいです。どうして日本に興味を持ったのでしょうか?

アナンヤ:きっかけは、小学5年生のときに先輩が貸してくれた漫画でした。絵の描き方がとっても美しくて……衝撃的だったんです。アメリカの漫画はラフな画風が多いから、極細のペンやスクリーントーンを使った繊細な絵柄に引き込まれて。それから「もっと日本の漫画が知りたい!」と思い、いろんな少女漫画やアニメにふれました。

どの作品もだいたい女子高生が主人公で、高校が舞台だったから、日本の制服や文化祭、体育祭にはすごく憧れましたね。日本の音楽やファッションにも興味を持ち、初音ミクをはじめとしたVOCALOID文化や原宿ファッションにもハマりました。そのうちにもっと日本のカルチャーを知りたくなって、少しずつ日本語の勉強をはじめたんです。

――アナンヤさんは、日本語の勉強を独学でされたと伺っています……!

アナンヤ:小学生だったからお金がなくて、独学するしかなかったんです(笑)。でも、インターネットには日本語をわかりやすく解説したYouTubeやブログ、無料の語学アプリがたくさんありました。そういうものを片っ端から試してみて、自分なりに勉強していった感じです。

――最初はどんなことから始めたんですか?

アナンヤ:まず勉強したのは、ひらがなと片仮名です。これは、フラッシュカードをつくって地道に覚えました。

文章表現や発音を勉強していく段階では、テキスト的な堅い日本語よりも、一般の人がふつうに話している自然な日本語にふれる時間を増やしたんです。「周りの大人が話している言語を吸収していく赤ちゃん」みたいなイメージで、とにかく日本語を浴び続けました。

その時期は日本のコンテンツばかり観ていたので、アメリカの流行りについていけないくらいでしたね。

画像: ▲漢字の練習をする様子(ご本人提供)

▲漢字の練習をする様子(ご本人提供)

勉強していて気づいたのは、発音が何より大事だということ。語彙力はあとからいくらでも鍛えられるけれど、発音がナチュラルじゃないと、話す相手にも気を遣わせてしまいます。

自分が日本になじむためには、日本人のような発音を身につけるのが一番いいと思いました。自分のなりたい像に合わせたメディアにふれるのが効果的だと感じていたので、当時流行だったVine(6秒動画のSNS)に投稿された動画をとにかくたくさん見て、憧れの日本の女子高生みたいな喋り方を目指したんです。

――ほかに、日本語習得で大変だったことはありますか?

アナンヤ:勉強をはじめた小学生のときは、周りから「日本人になろうとしてるの?」「ダサい」と言われ傷ついたこともありました。日本語はメジャーな言語ではなかったし、アメリカには「日本=オタク文化」みたいなイメージもあったからです。ちょっとつらい時期もありましたけど、勉強を大変だと思ったことはありません。いつか上手に話せるようになるだろうって思えば、難しい文法を勉強するのも苦じゃなかったんですよね。

ただ、ちょっと上手く話せるようになると、オンラインで交流している日本の方から「上手だね」って言われることがぐんと増えるんです。最初はうれしく思っていたけど、目指すべきはそんなふうに言われることがないくらい当たり前に日本語を使いこなせている状態だなと気づいて。それ以降は、褒められるたびにちょっと複雑でした(笑)

――なるほど。褒めてもらっているのに、複雑だったと。

アナンヤ:とはいえ、語学の勉強は続けることがいちばん大切だから、そうやって誰かに上達を認めてもらえる機会って大事ですよね。日本人が英語をある程度上手に話していても、英語圏で褒められることってあまりないと思うんです。でも、日本語はちょっと話せるだけでたくさん褒めてもらえる。だから、英語を勉強する人のほうが、日本語を勉強する人よりもモチベーションの維持が大変なんじゃないかなって思います。

画像: 日本文化への憧れから、独学で日本語を学び、羽ばたいた
――興味だけで長く勉強を続けるのは大変だと思います。アナンヤさんは、どうやってモチベーションを維持していたんですか?

アナンヤ:やる気が下がった時期はありましたよ。でも、心のどこかに「いつか日本に行くから、そのときいろんな人と喋れるように頑張るんだ」「日本語を学べば、いつか日本で何かができるはず」という気持ちが、ずっとありました。オンラインでたくさん友達をつくって、日本語で話す機会を増やしたこともよかったと思います。日々の勉強にちょっとした楽しみをつくることが、やっぱり支えになりましたね。

――XやInstagram、YouTubeでの発信をはじめたのも、そんな10代のころですね。いまでは各SNSを合わせて30万以上のフォロワーがいらっしゃいます。

アナンヤ:コロナ禍で実家にこもっていたとき、YouTubeでの発信に興味を持ち、自分のプロフィールや紹介動画を作ってみたんです。そこから私を知ってくださる方が増えて、どんどんフォロワーも増えていきました。それからは、せっかくのアカウントを大きくしてみようと思い、時間を決めて毎日3回きっちり投稿。英語や日本語を学ぶ人たち向けの、カジュアルなコンテンツをつくっていきました。

――「ネイティブをギャフンと言わせる英単語」「XXの時に使える英単語」「好きな英語のモットー」など、生きた英語の発信がとても面白いです!

アナンヤ:自分の発信を面白がってくれたり、勉強に役立ててくれたりする方がいるのは、すごくうれしいです。表現を考えるのも楽しいし、ビジネス的な観点でSNSを運用していくのも面白いなって。

他にも「必ず名刺を渡される」、「まず年齢を聞かれる」、「夜中でも一人で歩ける」といった「日本を感じる瞬間」の投稿も多くの反応をいただき、うれしいですね(笑)

SNSを通じて人と知り合う機会が増えるのは、私自身の勉強やキャリアにとってもすごくプラスでした。

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