フリーランスになって、人との繋がりをもっと味わえるようになった

画像: フリーランスになって、人との繋がりをもっと味わえるようになった
―事務所に所属するタレントからフリーランスへ。転身したことで、働き方や意識に変化はありましたか?

藤岡:仕事の時間が不規則だったし、もともとフリーランス的な働き方ではあったのですが、人との“つながり”が大きく変わりました。

事務所に所属するメリットのひとつに、マネージャーさんがいることが挙げられると思います。連絡やスケジューリング、お会いした方との名刺交換などもしてくださって。とてもありがたい存在だなと思っていましたし、今でも感謝しています。けれど、独立してからは仕事で関わる方々と直接やり取りをすることがとてもうれしくて。友達も増えたし、ご縁がちゃんと積み重なっていく感じがします。

事務所を離れてからもラジオパーソナリティのお仕事は続けさせてもらっていますが、ご縁や、繋がっているという感覚を大切にしていますね。

―ラジオにおける“繋がり”とは、どういったことなのでしょうか?

藤岡:ラジオって、不特定多数に発信しているように見えて、1対1のコミュニケーションでもあると思うんです。1人対多数ではなくて、1対1がたくさんあるというか。もしくは、架空の親密な空間にみんなで集まっているイメージも浮かべています。

わかりやすさやインパクトが重視されがちなテレビと比べて、ゆったりとした時間や言葉を使ってじっくり伝えられるのもラジオの魅力です。

―たしかにそうですね。そう考えると、文筆業も1対1のお仕事と言えるのでしょうか。

藤岡:そうかもしれないですね。本を読んでいる時、著者との対話のように感じることもありますよね。また、文章を書いているその瞬間は、自分との話し合いでもあるかもしれません。もう一人の自分というか、無意識の中の自分が勝手に文章を書いていることがあるんです。まるで白昼夢を見ているような、そんな感覚。その瞬間が過ぎたあとは、すごく没頭できたなって思います。没頭している自分と、編集者としての自分が対話して文章を作り上げていきます。


今を生きることをもっと楽しくするために。これからは「過去と未来」とのつながりも追い求めていきたい

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―たくさんの挑戦をしてきた藤岡さん。今、さらにやってみたいことや挑戦してみたいことはありますか?

藤岡:これまでは自分の世界を横に広げようとしてきたので、今度は縦軸といいますか、「過去と未来」とのつながりを深めたいと思っています。

「私って想像力が足りないな」と反省することが多いんです。実際に見たり、聞いたり、体験しないと、いろんなことが自分に無関係なままで終わってしまうなと。

そんな自分を分かっているからこそ、20代の頃はいろんな場所に行きました。自分と関係があると思える世界を広げたいと考えていたから。その中で、距離だけでなく時間も超えてつながることもできるとわかってきたんです。

例えば戦時中の日記を読むと、歴史の教科書で知るよりも当時のことがずっと身近に感じられます。そこにいたのは自分だったかもしれないと思う。私だったかもしれない誰かの悲痛な思いを受け止めてつないでいくことで、より良い未来を作ることができると信じています。日記、というのがポイントですね。距離のある事象に対して実感できるコツや入り口があるような気がしています。

同じように、私がもう存在しない遥か未来の地球環境が大変だ、という話をもっともっと自分ごととしてとらえる方法もきっとあると思います。SF作品に親しむとか、そういうポップな入り口もたくさん探していく予定です。

これからも肩書きが増えることを楽しんで、自分に関係があると思える世界を縦にも横にも広げていきたいと思っています。

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画像: 新しい挑戦をして、世界を広げていきたい。藤岡みなみが考える“繋がり”の方向性

藤岡みなみ

1988年生まれ。文筆家、ラジオパーソナリティなど。時間SFと縄文時代が好きで、読書や遺跡巡りって実在するタイムトラベルでは?と思い2019年からタイムトラベル専門書店utoutoを始める。主な著書に異文化をテーマにしたエッセイ集『パンダのうんこはいい匂い』(左右社)などがある。

取材・執筆:山口真央
編集:野風真雪
写真:梶礼哉

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