「パラレルキャリア」という言葉をご存じだろうか。経営学者、ピーター・ドラッカーが20年ほど前に提唱した生き方やキャリアに関する考え方で、「現在の職業のほかに仕事を持ったり、非営利活動に従事すること」などを指す。

近年、日本でも“働き方改革”の一環として「パラレルキャリア」の考え方が再び注目を集めており、自己実現に向けて複数の仕事や活動を両立することを“当たり前”とする社会になりつつあるのだ。

今回お話を聞いたのは、そんなパラレルキャリアを体現する池澤あやかさん。エンジニアとタレントという全く違う二つの世界に身を置いている。「生きやすい環境を求めていたら、こんな働き方になっていたんです」と語る池澤さんに「自分らしい環境づくり」の術を聞く。


30歳を節目に、フリーランスから会社員へ。こだわった「働く環境」

画像: 30歳を節目に、フリーランスから会社員へ。こだわった「働く環境」
―今日の取材はお仕事帰りに駆けつけてくださり、ありがとうございます! 池澤さんはエンジニアとして、フリーランスから会社員になられています。時間の制約など、タレント業との両立も大変ではないですか……?

池澤:いえいえ、おそらくご想像よりずっと「会社員らしくない会社員」をしていると思います(笑)。就職活動時は、フルリモート、フルフレックスのほか、とにかくスケジュールを柔軟に組める会社を探しました。おかげで会社員ながらもタレント活動に支障はほぼありません。

―なるほど、リモート、フレックスなども働き方の“当たり前”になりつつありますよね。ただ、フリーランスのほうがより自由度が高かったのでは……?なぜ、このタイミングで会社員になることを選ばれたのでしょうか?

池澤:フリーランス時代に長期的に関わっていた案件が、事業縮小のためチームを解散することになったんです。それをきっかけに、改めて自分の働き方を見直す機会なのかもしれないな……と。

エンジニアは今、人手不足も相まって引く手あまたなんです。技術を磨けば、おそらくフリーランスでやっていくほうが稼げてしまう。でも、心のどこかで「マネジメントの道への可能性を残しておきたい」と思っている自分がいました。マネジメントは、フリーランスではなかなか積めない経験です。技術を磨くことも、マネジメントも、どちらも選べたらいいなと思ったのがひとつの理由です。

ほかにも、ライフステージの変化によって収入が不安定になってしまうことも懸念点でした。将来、出産や育児といったライフステージに立った時、フリーランスだと働けない分、収入がゼロになります。そういった不安もあって、一度会社員を経験してみたいと思いました。

―キャリアとライフステージの変化の両立は、女性にとって大きな課題なのかもしれませんね。実際に会社員生活を始めて数か月、いかがでしょうか?

池澤:あまり生活は変わらないですね。今も前も、自宅でプログラムを書く生活です。ただ、ミーティングは増えました。社内で共有されているカレンダーに空いている時間があれば、どんどんミーティングが入れられている。これまではクライアントとのミーティングが主でしたが、組織に属していると様々な場面で話し合いをする必要があるんだなと。

あとはやっぱり、収入面で安定したのは大きいかもしれません。毎月決まった額のお給料が入ってきて、福利厚生もしっかりしている。フリーランスにはなかった心の安心は感じています。


This article is a sponsored article by
''.