誰もが「ちがう」想いや悩みを持って⽣きています。でも、もしかしたら誰かが導き出した答えが、あなたの答えにもなるかもしれません。「根ほり花ほり10アンケート」では、さまざまな業界で活躍する“あの人”に、10の質問を投げかけます。今回は、テレビプロデューサーの佐久間宣行さんが登場。

きっと、「みんなちがって、みんなおんなじ」。たくさんの花のタネを、あなたの心にも蒔いてみてくださいね。


画像1: 佐久間宣行さん(テレビプロデューサー)の「根ほり花ほり10アンケート」

佐久間宣行

1975年生まれ。福島県いわき市出身。
テレビ東京のプロデューサーとして「ゴッドタン」「あちこちオードリー」「ウレロ☆シリーズ」「キングちゃん」「ピラメキーノ」などを担当。
映画「ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE」(2013年)、「ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキックラブ」(2014年)では監督・脚本を手掛ける。
2019年4月からラジオ「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティを担当。(2022年日本民間放送連盟賞ラジオ生ワイド部門 最優秀賞受賞)
2021年3月末にテレビ東京を退社し、フリーのテレビプロデューサーとして多方面で活躍。


①今の仕事に就いた経緯は?仕事のやりがいや楽しみは?

もともとテレビ業界や映像のクリエイターになることに憧れはありました。ですが、学生時代にクリエイティブな経験が乏しい自分には無理だと考え、就職活動の当初はマスコミやそれ以外を問わず事業や営業系の職種で応募していました。

就活を始めて最初に受けたフジテレビの面接で、最近面白かったエンタメ作品の説明を求められ、悩みながらもそれに答えると、「なぜ面白いと感じたかの説明がうまい。それができる人は作るほうもできるのでは?」と面接官の方に言われました。そこで改めて自分はクリエイティブ職をやってみたいのだと感じ、制作部門でエントリーが唯一間に合ったテレビ東京に応募しました。

一番のやりがいは「自分の頭の中で思いついたアイディアが大きな形になって、他人の人生を変えるかもしれない作品になる」というダイナミックさです。それと、こんなに毎日笑っている仕事もなかなかない気がします。

画像2: 佐久間宣行さん(テレビプロデューサー)の「根ほり花ほり10アンケート」

②これまでの自分の人生にキャッチコピーをつけるなら?

「らせん階段(しかもまあまあ大回りな)」

クリエイティブな仕事に憧れながらも、アルバイトは飲食店ばかり。お笑い番組を作りたかったけど、入社したテレビ東京にはお笑い番組は存在せず、クイズ番組、ペット番組、演歌番組、花火中継などでAD経験を積む。ゴールデン番組と相性が合わず、深夜や夕方の番組ばかり作っていた30代。

テレビディレクターとして王道を歩んだことが一度もないまま、右往左往していたと思います。
ただ、その大回りの中でもちょっとずつ階段は登ったこと、大回りな分だけ順調だった人には見ることのできない景色を見てきたこと、それらが今ものづくりをする血肉になっている気がします。なので、らせん階段、のようなキャリアかなと。


③今までに人生の分かれ道に立ったとき、どう考えてどう決断してきた?

その分かれ道に立つまでの「はじめの一歩」を思い出すようにしています。

番組作りで悩んだら、最初に書いた企画書を読み直します。人間関係で悩んだら、その人に最初に感じた印象を思い出します。そうすることで、「大事にしたいものは何か」を改めてはっきりさせるのです。

僕は今の仕事を選んだのは「自分が好きな面白いと思う作品やクリエイターが世の中に増えてほしい」という気持ちでした。その初心に背いてないか考えて選択をすること多いですね。


④休日明けの朝、仕事に行きたくないと感じることが多いです。そんなときどうしますか?

朝起きたら飲むドリンクとか、移動中に見るドラマとか、日常のそこここに小さい楽しみを作ることを大事にしています。それと、月曜は大事な決定事項のある仕事は多いけど、仕事自体の数は増やさないで、他の曜日より早めに終わるように振り分けています。週の頭から疲れないように。

また、徐々に僕は日曜の夜こそ早めに寝てしまうようになりました。日曜の夜に長く起きていても翌日の仕事のことでモヤモヤし始めてしまうからです。月曜は早い時間に起きて、週の初めの準備を時間をかけてやります。その癖をつけていくうちに、週の頭で仕事に悩むことが少なくなっていきました。


⑤仕事において、やりたいことや目標がみつかりません。そんな自分はダメでしょうか?

仕事は別に夢を叶えるためのものではないと思うので、自分にあった付き合い方でいいと考えています。僕にも夢のように思える時期や現実と向き合わなければならない時期、日々をなんとかやり過ごしている時期もありました。

ただ、夢や目標がなくても、楽しくハッピーにしていったほうがいいのは間違いないので、自分が得意なことや耐えられないことなど、仕事に臨む自分自身の傾向はよく知るべきだと思います。ちゃんとケアをしてあげないと、急にガタっと壊れてしまうことがあるので。

画像3: 佐久間宣行さん(テレビプロデューサー)の「根ほり花ほり10アンケート」

⑥将来に対して漠然とした不安を感じてしまいます。どんなマインドを持てばいいのでしょうか?

不安は誰にでも常にあるもの、と思うことが大事だと思います。なので、不安は打ち消すものではなく、うまく付き合うものだと考えてみてはどうでしょうか?

その不安があるから努力もできる、なくなったら成長が止まる。なので、まずは抱えている不安が出しているサインに気づくべきです。何をクリアすれば和らぐのか、正しい努力になるのか。そしてちょっとずつでも行動する。

それを繰り返していくうちに、不安は、人生の良いパートナーのように感じるときがくるはずです。「あ、まだちょっと頑張らないといけない時期に来たんだな」のように、不安というサインと付き合えるといいのではないでしょうか?


⑦お金と時間の使い方のこだわりについて教えて下さい

美味しいものを食べたい、面白いものを見たい、好きな人たちと一緒に過ごしたい……くらいしか人生の目的がないので、それに関することにはあまり制限なくお金を使っている気がします。それでも他の人に比べたらささやかだと思います。高級品への熱やコレクション欲などがまったくないので。

ただ、父が55歳で亡くなったのは強く脳裏にあるので、そのくらいの年齢で人生が終わっても後悔しないように楽しもう、嫌なことは断ろう、という意識は40代なかばから芽生えてきました。独立したのもそれが一因です。


⑧過去の自分にメッセージを送るなら?

今もそれなりに頑張ってはいるけど、もっと自信を持って色々やっても良かったんじゃないか?

あと親父ともっとたくさん飲みに行けよ。


⑨将来どんな暮らし、生き方がしたい?

絶対、という感じのものはないです。

その時家族や大事な人達と楽しくやれることを大事にしたいと思っています。強いて言えば、仕事をリタイアしたら、ゲームと料理はたくさんやりたいですね。


⑩佐久間さんにとって、「自分らしく働く」とは?

なにかひとつでも「自分だからできた」っていうものを残すことです。それは僕にとっては番組だけど、別に人間関係でもちょっとしたスケジュールの改善でも、チームの雰囲気が良くなったみたいなことでもいいと思っています。

父はサラリーマンで、母は服飾メーカーで長い間パートをしていました。2人とも、休みの日に社員の方が悩み相談に来るほど人望がありました。それを凄い格好いいなと思っていたので、僕も関わった人を裏切るような仕事はしたくないなと思っていて、それも「自分らしく働く」の中の大事な要素です。


画像4: 佐久間宣行さん(テレビプロデューサー)の「根ほり花ほり10アンケート」

どのメッセージもすごく優しい……!それが初めてご回答を読んだ時の感想です。頑張りたい気持ち後押ししてくれるような優しさ、悩みに寄り添ってくれるような優しさ、そしてご両親への尊敬と愛情という優しさ。10個の質問への回答を読んだ後に、「よし、がんばろう」とか「少し考え方を変えてみよう」とか、前向きで明るい気持ちになった方も多いのではないでしょうか。そして人によって胸に刺さる回答はそれぞれなのだろうなとも。私はどれも好きですが、⑧で涙がにじみました。
佐久間さん、前を向いていこう、もっとやってみようという気持ちにさせていただきありがとうございました!

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