営業職というと、にぎやかで社交的な人や、相手との距離の縮め方がうまい人というイメージがないだろうか。今回のMy Rulesの主人公、プルデンシャル生命のライフプランナー・周善和さんは、落ち着いたトーンで、顧客と真っ直ぐに向き合うタイプだ。
「人前に出るのが苦手で、支社のミーティングで話すだけでも緊張するタイプ。学生時代の友人には『営業職には向いていないから、すぐ辞めそう』とよく言われていました」
そう笑う周さんだが、時間をかけて自分のスタイルを確立し、入社15年目にして社内コンテストで入賞という結果も得た。今回は、群馬・高崎という地で、新たな道を切り拓いた彼女の強さとその歩みを辿ってみたい。
▼プロフィール
周善和(しゅう・そな)
在日コリアンとして、群馬県高崎市で生まれ育つ。朝鮮学校で小学校から高校まで過ごし、朝鮮大学卒業後は朝鮮学校で教員として5年間勤務。その後、販売店で化粧品・エステの営業を経験。2009年9月、プルデンシャル生命に入社。
自分で人生を切り拓く――その思いが開けた新たな扉

「ちゃんと質問の答えになっていますか?」
取材中、周さんは何度もこの言葉を口にした。質問の意図を汲んで、わかりやすく、的確に応えようとする姿からも、普段、彼女がいかに顧客に誠実に向き合っているかが伝わってくる。
営業職でありながら、控えめともいえる人柄。どんな経験が彼女のキャラクターを作ったのかを尋ねると、「生まれもった性格という部分が大きいのですが、在日コリアンのコミュニティのなかで大学までを過ごしてきたので、大人になってから日本社会に飛び込んだという感覚が強くて。そういった部分も影響しているのかもしれません」と答えた。
在日三世として生まれ育ち、大学まで朝鮮学校で過ごした周さん。
「私はずっと在日コリアンの社会で生きてきたので、企業への就職活動のやり方が分かりませんでした」。大学卒業後、朝鮮学校で教員として子どもたちに語学などを教えていたが、次第に日本社会で働き、生きていきたいという思いを育てていく。
「自分が結婚する姿があまり想像できなくて。実家もお金には苦労していました。だから自分で人生を切り拓き、生活していかないといけない。どうやったら今の環境から飛び出せるだろう、どうやったらバリバリ働けるんだろう、ずっとそう考えていました」

転機はすぐに訪れた。化粧品会社の販売店に、友人の紹介で客としてエステを体験した際、「働いてみないか」と声をかけられたのだ。実際に働き始めると、自分に向いている仕事だと感じた。
「まずは無料エステを体験してもらい、継続的なエステや化粧品をお勧めする仕事でしたが、振り返ると当時から商品を売るというより、お客さまの本質的な課題を突き止め解決しようとアプローチしていました。1対1でお客さまの生活習慣をヒアリングし、お肌の悩みを解決するためにアドバイスをする。その姿勢やヒアリング力は、今の仕事にもつながる私の強みかもしれませんね」
日本社会で生き抜くためのライフプランナーという選択

プルデンシャル生命との出会いは、偶然だった。
「真夏の炎天下、街中でエステのチラシ配りをするのが嫌で(笑)。オフィスビルに入って、上のフロアから順番に配って回り、最後に訪れたのがプルデンシャルの支社でした。その飛び込みがきっかけでライフプランナーにスカウトされたのですが、化粧品と保険では全く商材も売り方も異なります。怖かったですし、正直不安だらけでした。でもそれ以上に好奇心が湧いたというか……。プルデンシャルに入ることで、これまでと違うステージで社会と接点が持てるのではないか、と考えて思い切って入社を決めました」
しかし、プルデンシャルでの船出は決して順調ではなかった。
「前職は女性スタッフばかりだったので、日本人男性と接するのもほぼ初めて。同僚との距離感もわからずに戸惑うことばかりでしたね。営業先も在日コリアンのコミュニティが中心でしたが、女性の友人の多くは結婚していて、保険加入の決定権は男性側にありました。女性がお金の話をすることに抵抗を感じる方も多くて、なかなかご契約はいただけませんでした」
シンプルに、誠実に。自分らしいスタイルで信頼関係を築いてきた
そんな中で周さんの支えになったのが、所属している高崎支社の先輩たちだった。金融知識のフォローアップやお客さまへの応対など、細かなことも熱心に教えてくれた。
「高崎支社に限らず、プルデンシャルでは先輩が惜しみなく知識や経験を教えてくれるんです。これは本当にいい文化だなと思います」
さらに周さんの活路となったのが、退職した前任者から引き継いだ契約へのアフターフォローだった。

「引き継いだお客さまにコンタクトをとり、ライフスタイルの変化や、ご契約内容に不明点がないかなどをおうかがいしながら、新しい担当者として覚えていただき信頼関係を築いていきます。そのうえで、保険に関するお困りごとを抱えているお知り合いなどを紹介いただくというのが、私なりの営業スタイルになっていきました」
ここで生きてくるのが、前職で培った「本質を突く」カウンセリング能力。
「ライフプランナーにはさまざまなタイプがいます。お客さまと頻繁に連絡を取り、友人のような関係になって信頼を積み重ねていくという人も少なくありません。一方で私はそうではなくて、事前にきちんとアポイントを取って、“仕事の予定”としてお会いしたいタイプ。もちろん突然のご相談や急なお困りごとなどには優先で対応しますが、基本は決まった時間の中でヒアリングをし、将来の備えとして心配な点、保障が足りない点をしっかりお伝えして、ストレートに解決策をご提案します。お忙しい方や公私をしっかり分けたいという方からは、『周さんは端的に欲しい情報をくれる』とお褒めの言葉をいただくなど、私のスタイルが喜んでいただけるようです」