「キャリアが途切れてしまうかもしれない」「収入が減ってしまう」「復職できるだろうか」、そんな不安を抱え、育児休暇(以下、育休)の長期間取得をためらう人は少なくない。
「仕事と育児、どちらを優先するべきか……」。多くのビジネスパーソンを悩ませるテーマだが、プルデンシャル生命のライフプランナー安澤絢さんは、思い切って4年間の育休を取得した。「生まれたばかりの子どもと、全力で向き合えるのはこのときしかないと思った」と話す。
入社12年目の安澤さん。ライフプランナーとしてのキャリアのうち、約3分の1を家庭に費やしたことになる。それでも「休むことに不安はまったくなかった」と言い切る彼女は、いかにしてその考えに至ったのか。“専業主夫”となった夫との関係や、復職後の働き方の変化、子どもたちへの向き合い方……安澤さんの話を聞くと、イマドキの柔軟な家族のカタチが見えてくる。
夫が家で、私は外で。安澤さん夫妻の新たなカタチ
安澤さんの復職の前に、仕事を辞めた育郎さん。家族のためとはいえ、「専業主夫」になるという選択に迷いはなかったのだろうか。その決断に至るまでの夫婦のやりとりを聞いてみた。
「夫には何度も『本当にいいの?』と聞きました。その度に『僕はそうしたい』と言ってくれた。夫は、ライフプランナーが大変な仕事だと分かってくれていて、それでも復帰してまた頑張りたいという私を応援するためにも専業主夫になる選択をしてくれたんだと思います」
安澤さんの心配をよそに、育郎さんは専業主夫としてバイタリティを発揮しているのだという。
「今年度、夫は1,000人もの生徒がいるマンモス小学校でPTA会長になりました。この前なんて、家に帰ったら夫のママ友4人とその子どもたち13人、合わせて17人が遊びに来ていて驚いちゃって(笑)。人生、何があるかわかりませんね。実は先日、夫は再就職しましたが、自分が育児家事をするという前提でフルリモートの仕事を選んでくれたようです」
夫婦の形のほかにも、変わったものがある。ライフプランナーとして安澤さんが活躍する領域だ。
「育休の4年間は育児に専念していたので、復職を機にいろいろな勉強会に参加しました。その結果、相続について学びを深めることができました。今では、相続を考えている高齢の方々からご相談をいただくことも多く、自分の得意領域として力を入れています。その年代の方々からは、ご家族のことや、ご先祖から受け継いだ“家”の歴史など、豊富な人生経験と比例するように、様々な“想い”をお伺いできるんです。お客さまの想いに沿った相続を実現するために、ライフプランナーとしてお力になりたいと考えています」
空気を読まない私だからこそ、できることがある
ずっとこの仕事をすると決めている安澤さんだからこそ、会社のさらなる発展のために積極的に声を上げ続けている。
プルデンシャルは2023年から、若手営業社員が本社や経営層に直接提言をする会議体を設置している。会社の10年後、20年後を担う若手営業社員の声を吸い上げ、社内制度やお客さまへのサービスなどをさらによいものにすることを目的としており、安澤さんは2023年に参加した。
「運営側から、『支社の代表として参加しないか?』と声をかけていただいたことがきっかけです。これはチャンスだと思い、『ぜひやらせてください』と言いました。時間と労力をかけて、若手の意見を直接、経営層に伝える場所を作っている。風通しのよいプルデンシャルという会社のいいところだと感じます」
安澤さんは、他にも社内のイベントや研修会で多くの登壇経験がある。女性としてはもちろん、4年間の育休と復職を経験した母としての経験があるからこそ、発する言葉に期待が集まるのではないだろうか。
「私って空気を読まないというか……、相手が誰であっても、言わなくてはいけないと思ったらズバズバ言っちゃうんですよ。それは対立したいからではなく、言うことで会社がもっとよくなると信じているから。各支社の代表の若手社員と話をしていると、みんなプルデンシャルという会社が大好きだということが分かります。ここで働き続けたいからこそ、会社の課題を解決したいという強い思いを持って参加している。私もその一人でありたいと思っています」
家族を大切にしている安澤さん。「プルデンシャルをよりよい組織にしたい」という思いを持つ彼女にとって、会社も一つの家族なのかもしれない。未来を考え、自分が担う役割を熱弁する姿を見て、そう感じた――。
安澤さんの「My Rules」
自分の人生を変えるため、MRからライフプランナーに転身。そして、出産と育児を通じて、家族と過ごす時間の貴重さと大切さを知った安澤さんの「My Rules」を聞いた。
自分の心に嘘をつかない
「仕事でもプライベートでも、『自分の心に嘘をつかない』ことを一番のルールにしています。働きたいと思ったときは働き、子どもと一緒にいたいと思ったときは休む。自己中心的な考え方かもしれませんが、これが私らしさの軸になっています。ありがたいことに、夫の支えがあってこそ実現できています」
「長女を出産したとき、産休と育休を合わせて5か月で復職しましたが、仕事をするのは私のエゴではないか、子どものことを考えたらこんな短期間で復職してもいいのかと、人生で一番悩みました。でも、今振り返ってみると、自分の心に従ってあのタイミングで復職してよかったと思っています。それ以来、判断に迷ったときは、どうあるべきかではなく、『私はどうしたいのか』を自分に問いかけるようにしていますね」
平日であっても子どもの行事には100%参加する
「子どもの成長を見るのが何よりも好き。学校ではどんな表情をしているのかと考えると、もういてもたってもいられなくて。子どもたちも、育休中は私とずっと一緒だったので、行事に参加するのが当たり前だと思っているみたいです。『ママ、今日は来ないのかな……?』とさみしい思いをさせたくない。それに、私はつい仕事をしてしまうので、行事のときぐらいは休んで子どもたちと過ごそうと決めています」
家庭や会社の都合で、育休を取得しづらい人がいるかもしれない。パートナーに「育休を取りたい」「育休を取ってほしい」と言いづらい人もいるかもしれない。それでも、自らの経験を踏まえると「子どもとの時間を大切にしてほしい」と安澤さんは言う。
仕事も育児も。夢を叶えられるのがライフプランナー
最後に、安澤さんにとって「仕事で叶えたい夢」を聞いてみた。
「正直、具体的な夢はないんです。ただ、プルデンシャルは夢を叶えられる会社だと思っています。ライフプランナーは、働く時間も、場所も、誰に会うかも自分で決められます。全て自分の行動次第です。だから、こういうお客さまに会いたい、仕事を頑張ってこういう暮らしがしたい……。自分の頑張り次第で、そういった夢を叶えられる環境が揃っています」
では、プライベートで叶えたい夢は?
「復職してから仕事ばかりしているので、家族で年に1回ずつ、国内と海外旅行をすることが夢というか、叶えたい目標です。子どもたちも旅行が大好きで、この前は、『はやぶさとこまちの連結が見たい!』というリクエストに応えて盛岡まで行きました(笑)。子どもって興味の移り変わりが速いですし、あそこに行きたい、これを見たいと言われたときに、すぐ叶えてあげたいなって」
「私は家事育児50%、仕事50%という働き方ができない」と言う安澤さんだが、話を聞いていると、どちらも100%全力で取り組んでいる女性だということが伝わってくる。育児も仕事も。安澤さんはこれからもきっと、自分の心に素直でいることを諦めない。
執筆:大川 竜弥
撮影:梶 礼哉