「我が子の野球を応援できる日が来るなんて」。重症心身障害児と触れ合って感じた、やりがい

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――「もみじの家」で働くようになって、「転職して良かったな」と思う瞬間はありましたか?

内多:普段、ケアに追われているお母さん・お父さんたちから、「この施設を待ち望んでいました」と喜ばれたときは、この仕事を選んで良かったなと思いました。「もみじの家」では医療的ケアの提供だけではなく、子どもたちが楽しく過ごせる演出や環境づくりにも注力していて。だから、子どもも楽しいし、もちろん預けた親御さんたちだって心安らぐ時間を過ごせる。なかには、「ここは第二の我が家です」なんて言ってくださる人もいました。

それから忘れられないのは、「もみじの家」主催で行なった「ウルトラユニバーサル野球大会」です。これは両翼5mの巨大な野球盤を使ってプレイする野球大会で、知人の力を借りて開催しました。この野球大会のいいところは、たとえば寝たきりのような重症心身障害児でもプレイできるところ。視線入力装置を使って、目の動きを読み取ることで、野球盤のバットを振る仕組みです。すると、寝たきりの子でも野球選手になれちゃう。

昨年、開催した第1回の大会には、全国から重い病気や障害のある13人がエントリーしてくれました。プロ野球のように複数のカメラで中継し、“ウグイス嬢”もセッティングした上に、僕はアナウンサーだったので実況ができるじゃないですか。そうしたら試合展開は劇的だし、みんなは大盛りあがりだし、とにかく楽しかった。僕は小さい頃から熱狂的な野球ファンでしてね。そこにマスコミ業界と障害福祉での経験も活かせて、これまで自分が関わってきたことがウルトラユニバーサル野球大会でひとつになったんです。

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――お子さんだけではなく、ご家族も喜ばれたのではないでしょうか?

内多:そうですね。ご家族からは、「野球をするこの子を全力で応援できる日が来るなんて夢にも思わなかった」と言っていただきました。医療的ケア児を持つ親御さんには、運動会などで我が子の応援をする機会がないから、心のどこかで応援することを諦めているんですよね。でも、「ウルトラユニバーサル野球大会」では、我が子が野球選手になって打ったり、セーフになったり、初めて応援ができた、と。そこに大きな喜びを感じてくださったみたいです。それには僕も感動しましたし、やりがいを覚えました。

だからすでに、第2回も計画中です。今度はオープンスペースを借りて、一般の観客も募ります。選手たちは県単位でチームを組むことになったので、予選会もやって、準決勝、決勝とやるつもりです。もちろん、それだけで終わらせるつもりはなくて、今後10年かけて大きくしていきたい。パソコンさえあれば海外の子どもたちにも参加してもらえますからね。

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