自分の内側にある本音に耳を傾けることが「自分らしさ」への近道
アカリ:私自身の役目として自覚しているのが「アーユルヴェーダの認知を広げること」です。繰り返しになりますが、認知を広げることで届けたいメッセージは「個人の体質には違いがある」ということと、「体質が違うからこそ、自分で考えなきゃダメだよ」という二つです。
SNSの普及やAIの発達によって、現代人は自分で考える機会が少なくなっている気がします。それにあちこちから聞こえてくるのが、「自分が何をしたいかわからない」という悩みの声。自分で考えてこなかった人は、きっとそうなってしまうと思うんです。
結果、みんなが欲しいものを自分も欲しいと思い込んで、みんながやりたいことを自分がやりたいと思い込んでしまったり……。
アカリ:私は何かを判断するとき、人が言うことや損得勘定の思考をオフにするように意識しています。自分の魂が「これだ」という声を選べるように心がけているんです。
とにかく大事なのは、自分に嘘をつかないこと。自分に嘘をついてしまう人が案外多いと思います。本当はいいと思っているものがあるのに、こっちのほうが安い、早い、迷惑がかからないなど、何かしら理由をつけてそうじゃない方を選んでしまうとか。
でもそうではなくて、直観的に「これやりたい」と思ったものを選んだほうがいい。飛び込んでみる怖さがあったとしても、それを繰り返すうちにだんだんと直観的な判断ができるようになって「自分らしさ」に近づくと思うんです。人の人生ばかりを見ていないで、自分の人生をちゃんと生きて、命を使い切る人が一人でも増えてほしい。
私にとっては「アーユルヴェーダを広げる」というのがその想いを体現することで、何よりもやりたいと思えることです。だから、その役目を果たすことで自分らしく生きていきたいと思っています。
アカリ・リッピー
著者。英国アーユルヴェーダカレッジ卒業後、アーユルヴェーダ本場のスリランカで修行。帰国後、アーユルヴェーダの講座を開催。都内でアーユルヴェーダサロンを経営。著書に「アーユルヴェーダが教えるせかいいち心地よいこころと体の磨き方」など計5冊。
取材・執筆:郡司しう
編集:山口真央
写真:梶 礼哉