自分の“得意”を活かして、できることから挑戦してみて

アナンヤ:私が勤める会社が手がける投資アプリは、SNSを通じて日本の若者に投資を広めることを目的としています。そして私の役割は、日本の若い人たちに投資を教えること。私の強みであるSNSを活かして仕事をしています。

とにかく、自分のアクションが結果につながるのが面白い。新しいアイディアを試すたびに、数字が動くんです。やったぶんだけ結果が見えるし、インプットとアウトプットの距離が近いところがやりがいに繋がっています。

アナンヤ:給与は下がったし、休日が少ないなと思うことはありますね(笑)。でもスタートアップで働いてみたかった私にとっては、いろんなチャレンジをして、失敗も成功も経験しながらスキルを磨ける環境がうれしいです。個人のクリエイター活動も、すごく応援してもらっています。

アナンヤ:もちろん好きです!でも「好き」の質は変わってきています。子どものころほど熱狂的ではないし、「日本のこのアニメが好きだから日本が好き」という、わかりやすい理由があるわけでもない。ただ、自分の人生の大きな一部分を、いまも日本が占めたままなんです。

日本のことをまた新しく知ったり、日本について発信したり、街を歩いていてふと美しい景色に出会ったり……そんなささいなことのすべてが、うれしいんですよね。いつになっても、日本のことをもっと知りたいという気持ちは減らない気がします。

アナンヤ:将来的には独立して、事業を興したいと思っているんです。今の会社で、日本ならではのビジネスプラクティスを学べるのは大きなメリットだと思っています。

日本のことを伝えるコンテンツをつくってきた私にとっては、ひとつずつ新しい日本を知っていくのは宝探しをしているようなもの。いま働きながら積み重ねている経験は、すべてが今後の自分の糧になるはずです。いつか「インフルエンサー」という看板が世間的になくなっても、マーケターとして事業を考え、展開していく助けになると思います。

……学生のときは、日本とアメリカをつなげるビジネスがしたいと考えていたんです。その夢を強く信じていたし、ブレることはありませんでした。いまもその思いはありますが、やり方についてはまだまだ模索中ですね。

アナンヤ:たしかに、大きなことをいきなり成し遂げるのは難しい。だから、自分ができることから挑戦していったほうがいいと思っています。そのなかでも忘れないようにしているのは「得意なことをやる」ということ。自分が人よりうまくやれることで、他の人のためになることができればまずは合格なんですよね。

そう思って、いまはオンラインの日本語勉強講座を企画しています。これまでは「私は語学の先生じゃないから教えるのはおかしい」と思ってラインを引いていたけれど、私をフォローしてくれているたくさんの人たちが日本語学習に苦労しているのなら、それはいまのマーケットでは対応しきれていないということかもしれない。勉強の仕方は人それぞれなんだから、“アナンヤ流”のコンテンツがあったっていいはずですよね。いまはそういうことから一歩ずつ、積み重ねていけたらと思います。

アナンヤ・ドナパティ

インド出身・アメリカ育ち。日本の漫画等カルチャーに触れたのをきっかけに、日本そのものに深い興味を持つようになる。独学で日本語を勉強したのち、2022年日本へ移住し、現在は日本のスタートアップ企業にて働く。そのほか、Instagram、YouTube等SNSでの異文化発信を続けている。

取材・執筆:菅原 さくら
編集:山口 真央
写真:大嶋 千尋