「素の自分」と「求められる自分」とのギャップが苦しかった

Shouta.:Instagramの投稿がすべてのきっかけでした。周りの人たちがはじめていたので、僕も軽い気持ちで写真を投稿するようになって。それが徐々に見られるようになり、雑誌からオファーを受けたんです。せっかくだから、という気持ちで出てみたら、そのうちバラエティ番組からも声がかかるようになりました。

幼少期から芸能の世界には憧れもありましたし、自分の力で何かを成し遂げたいと考えていた僕にとって、芸能界はやりがいのある場所でした。いくら親がお金持ちだとしても、「で、あなたには何ができるの?」と問われる世界ですから。そこには忖度なんてないし、僕自身の能力が求められる。バラエティであれば、喋りのプロたちが並ぶなかに飛び込んでいって、どれだけ結果を残せるのか闘う。そんな世界が好きでしたね。

Shouta.:そう思います。でも、だんだんと辟易することも増えていきました。バラエティ番組でのトークって、あくまでも「仕事」なんですよね。だから自分が本当に伝えたいことと言わなきゃいけないことにギャップが生じてしまう。

たとえば、ハイブランドのバッグについて説明するシーンがあったとして、僕はそのバッグのどんなところが良いのか、それを伝えたかった。良いと感じたものの本質をシェアすることに楽しさややりがいを感じるので。でも、テレビの世界で僕に求められていたのは「そのバッグがいかに高級なのか」喋ることでした。で、「●●万円なんですよ」とか言いながら、そのバッグを雑に扱ったりすると、みんな盛り上がるわけです。すべてがパフォーマンスに思えました。

Shouta.:たしかに身近にいる人や感性が近い人はわかってくれていたと思います。バラエティ番組に出るのはいわば「自分を知ってもらうための宣伝」であって、そこで知ってもらうことで次の仕事につなげる。実際、トークショーや専門性の強い雑誌でのお仕事などにもつながって、そこで本領発揮できていた部分もあります。

ただ、マジョリティの人たちにはやはり誤解されるんです。テレビのイメージを引っ張ってきて、「バカなんだと思ってました」って言われたこともありますし……。誤解を解くことがすごく面倒でしたし、僕自身のやりたいことと現実が乖離していく感じもして、テレビの世界から身を引くことを選びました。