人は他者を理解するとき、わかりやすい“枠”に相手を当てはめてしまうことがある。かつて“華族の末裔・セレブ大学生”としてメディアの注目を集めていたShouta.さんも、そんな世間のジャッジメントに苦しんできたひとりだ。

裕福な家庭環境、華やかな私生活、きらびやかなビジュアル――。その一つひとつがわかりやすい記号として機能し、Shouta.さんは誤解されることも多かった。

しかし、彼の内面を知れば、その印象は180度変わってしまうかもしれない。それほどまでにShouta.さんは物事の本質を見つめることを大切にして、自分自身と真摯に向き合い、闘ってきた人なのだ。

想像を越えるほどに人間らしく、ときには地道に進む生き方も選択してきた。そんなShouta.さんが紡ぐ言葉には、自分らしく生きるヒントがたくさん隠されていた。


仮面ライダーやウルトラマンよりも、車やファッションが好きだった幼少期

Shouta.:周りのみんなが仮面ライダーとかウルトラマンに夢中になる時期に、僕は車やファッションに興味を持っていました。父は車や建築、アートが好きな人で、幼い僕とそういう話ばかりしていて。一方では母はデザイナーだったこともあり、ファッション好きだった。だから両親の影響がとても大きかったんだと思います。

Shouta.:そうですね、とても仲良しです。ただ、うちは母が絶対的な存在でした。子どもの頃、犬を飼いたいねという話が持ち上がったことがあって、そのとき、父は反対したんです。建築物が好きなこともあって、家を汚されたくないと。でも母がOKを出した途端、その翌日には我が家に犬がやって来ました(笑)。それくらい母には決定権があったんですよ。

でも、父の立場が弱いということではないんです。父は母のことをとにかく大切にしていて、自分にとっては嫌なことでも、母のためなら曲げられるという価値観の持ち主でした。パートナーを最優先にする。これは僕が両親から学んだことのなかでも、最も素敵な価値観だなと思います。

Shouta.:祖父母とも仲が良いですし、特に祖母は本当にかわいらしい人で、僕たち家族にとっての癒しです。両親や祖父母だけではなく、僕は自宅に父や母の友人たちなど、たくさんの大人が出入りする環境で育ちました。そこでたくさん可愛がっていただいたし、車が好きという共通点から何歳も離れている大人と話す機会も多くて、本当に豊かな経験をさせてもらったんだな、と思っています。

Shouta.:夜になって自分の部屋にこもれば、ひとりの時間は満喫できていました。そこで興味のある分野の調べ物をしたり、ゲームをしたりと、自分だけの時間も過ごしていましたよ。振り返ってみればその頃から、「諦める」という選択肢がなかったんです。いろんな人と交流する昼間の時間も大事、自分だけの時間を過ごす夜も大事。そのどちらも欠かせなかったので、だったら睡眠時間を削れば良いんだって思っていました。その頃から欲しいと思う何かを諦めることはしませんでしたね。

Shouta.:開業医かデザイナーか世界で活躍するモデルになりたいと思っていました。父が医師だったので、僕自身医療というものを神格化している部分があったんです。母はドメスティックブランドのデザイナーをしていて、仕事に対するスタンスに畏敬の念を抱いていました。ふたりの背中を見て、尊敬していたんだと思います。

一方で幼いころから海外に目を向けていたので、世界的なモデルに憧れていました。単純に格好いいとか綺麗だからという話ではなく、舞台でさらっと洋服を着ているように見えるのに、裏側ではストイックに努力している姿がすごいな、と。重圧を背負いながらも笑っている、それがとても素敵に見えたんです。