世界的な賞をもらうよりもうれしいのは、創作する人が増えること
藤原:お笑い芸人を目指していたくらいですし、振り返ってみると幼い頃から誰かを笑わせたいみたいな気持ちが心のなかに芽生えていたように思います。その根っこに何があるのか、どうやって形成されたのかはわからないんですけど。
藤原:小学生の頃、『エンタの神様』で初めてお笑い芸人のネタを見て、「こんなに面白い人たちがいるんだ!」とお笑いの世界にハマっていきました。お笑い以外だと映画や小説も好きで、自分もこういう面白いものを表現できる人になりたいな、とぼんやり思っていましたね。おそらく、エンターテインメントが好きだったんだと思います。
藤原:面白いことを言おうとはしていました。でも面白いキャラが確立されていたわけでもないですし、クラスで目立ってもいませんでした。そもそも中学校の後半くらいまでは結構地味で、隅っこで本を読んでいるようなタイプでもあったんです。
高校生になってからは音楽にハマりましたね。聞くだけじゃなくて演奏する側にもなりたくなってジャズ部に入ったり、親にお願いして楽器を買ってもらったりして。ベースやギターを弾いていたんです。
私の家族は基本的に何でもやらせてくれる人たちでした。父はグラフィックデザイナーだったので、家にはパソコンがあって、それも触らせてくれていましたし。子どもの頃からとにかくやりたいことがたくさんあったんです。「面白いことを言おう」っていうのも、きっとやりたいことのひとつだったんでしょうね。そして思いついたらすぐやってしまう。
藤原:面白がってくれていますね。「無駄づくり」を止められたことはなくて、ただ面白がって応援してくれています。
とくに賞をいただくことに関しては、おばあちゃんがすごく喜んでくれますね。おばあちゃんはネットができないから普段の「無駄づくり」は見られていないんですけど、それでも受賞したことを喜んでくれますし、たまに展示にも来てくれて、「なんかつくっているんでしょう」って言ってくれます。
ただ、私自身はそういう周囲からの評価に対して、「なんでだろう?」と戸惑うことが多くて。すごいことをしているなんて自覚はないですし、本当にただ工作をしているだけなんです。もちろん喜びもあるんですけど、それ以上に戸惑いながら、賞を受け取ることが多いですね。
でも、大きな賞をいただいたり、偉い人になったりしたとしても、きっと私は満足しないんだと思います。私が「無駄づくり」を通して伝えたいのは、「いろんな人に創作活動をしてもらいたい」ということです。だから私一人が注目され、いくら持ち上げられても満足できなくて、むしろSNSなどで「無駄づくりを見て、自分もこれをつくってみました」みたいなメッセージをいただくほうがうれしいんですよ。