自分に自信がないからこそ、前に出ることで自信を持ちたい。

清水:ダンスはもちろん続けていますが、仕事としては純粋なダンサーではなく、ダンスの動きを活かして表現するモデル的な案件が増えました。そして、それがすごく楽しいです。

いまのメインはCMやスチールなどのモデル。先日はアメリカで有名なラッパーのミュージックビデオやアルバムのカバーへの出演も果たしました。やっぱりニューヨークは、大きなチャンスをつかめる機会がすごく多いんですよね。オーディションは厳しいけれど、合格すれば信じられない規模の仕事ができてしまう。私はモデルとしては身長も小さいし、体型だって細くもないけれど、それが逆に、多様性を尊重する世の中の流れにハマったのかもしれません。

この1年ほどは、フォトグラファーも始めました。自分のポートフォリオを編集したことをきっかけに撮り始めたら面白くて、ハマっちゃって。もともと撮影現場などでクリエイティブチームのプロフェッショナルな空気に憧れを持っていたし、出るほうではなく作るほうにも興味があったんです。

清水:まずは、とにかく表現することが好きだから。それに、3つの仕事の相乗効果もあります。モデルの経験が、撮る側としてのインスピレーションを生むし、その逆もそう。それに、いろんな表現ができる柱を3本持っていれば、どれかがうまくいかない時期にも落ち込まずにいられますから。

でも、やっぱり一番の理由は、全部やりたいことだからかもしれません。一度の人生だから、やりたいことは並行してチャレンジしないと時間が足りない。ダンスもモデルもカメラも簡単じゃないけど、好きだから、スキルアップするための努力はぜんぜん苦になりません。人より時間をかけないと成果も出せないし、まだまだ頑張らなきゃいけないと思ってます。

清水:そう……なんですかね、実感が本当にないんですよ(笑)。つねに「もっと前へ出なきゃ」と思っています。……自分に自信がないからそう思うのかな? 自信がないからこそ、前に出て自信を持ちたいのかもしれない。

清水:何かを好きになることから全部が始まると思っています。好きになったことに打ち込んで、何かを学ぶから、自分らしく成長できる。

あと、仕事でいえば楽しく働ける環境を探すのも大事ですよね。アメリカって転職率がすごく高いんですよ。日本はまだ転職のハードルが高いけど、好きではない仕事や職場からは距離を取って、自分がやりたいことに挑戦したほうがいいと思います。「我慢すること」と「頑張ること」ってイコールじゃないから。

清水:渡米したときに掲げた「タイムズスクエアのビルボードに載る」という目標は、2024年の春に達成できました。だから今度は、同じくらい大きな写真を日本でも使ってもらえたらうれしいですね。

ただ、これまでの面白いお仕事はすべて運が引き寄せてくれた気もしているので……しばらくは運を待ってみようかな。いい運がくるように、日々周りに感謝して、徳を積んでいこうと思ってます(笑)

※記事内のお写真は清水さんご本人から提供いただいたものです

清水佑美

岐阜県出身、岐阜名古屋を中心にプロダンサーとしてショー出演、インストラクターや振付師を経て2018年にNYへ本格渡米。ダンサー、モデル、フォトグラファーとして活動中。ニューヨークファッションウィークのランウェイをダンサーモデルとして経験し、GoogleやApple、 Tommy Hilfigerといった大手企業のCMやモデルに数多く起用され、Googleでは全世界のビルボードにも出演。2023年には、全世界で人気のラッパーLil Uzi Vert のMVやアルバムジャケットにも出演した。

執筆:菅原さくら