ゼロから物事を始められるスキルを身につけるために選択したキャリア

石山:大学時代は、報道やジャーナリズムのような「発信すること」「伝えること」に興味がありましたが、当時起こった3.11(東日本大震災)がきっかけで、自分の中で色々と価値観が変化していきました。

その中で大学院に進学することや、一旦就活を中断することも考えましたが、リクルートの面接で人事の方や当時の社長とお会いすることができて。自分の考えを伝える中で、「社会が変わっていったとしても、自分の想いやビジョンを形にするスキルの修行する場と考えて、最初のキャリアを作ってみたらどうか」という話をいただいたんです。

確かに、自分の求める世界の実現のためにみんなを巻き込んだり、何かをゼロから立ち上げるスキルや力を身につけたいと考え、3年間リクルートでやってみようと決めました。

石山:そうです。その後リクルートで働く中で、レイチェル・ボッツマンの『シェア』という本に出会いました。

リクルートでは人材領域にいましたが、個人的にシェアリングを突き詰めていく中で、ここの幅を広げてみたいという思いが生まれ、仕事やスキルのシェアをしている企業を調べるようになりました。

そして出会ったのが、個人が仕事を受発注できるサービスを運営するクラウドワークスでした。

石山:自分が人材領域で仕事をする中で、「資本家と労働者」という関係性が、そもそも構造的にフラットでないことを問題視していました。

「個人の働き方を尊重する」という言葉があっても、やっぱり資本主義の中での労働者という位置づけがあって。例えば、自分の意思とは関係なく転勤が決まってしまったり、出産を機に人事異動になってしまったり。あとは、景気の状況によって、個人の能力関係なく機会の格差が生まれることも課題だと思ったんです。

でも、それを根本的におかしいと思っていても、その元にある資本原理を変えることは難しい。だったら、もっと人と人が多様な形でつながり合って、スキルをシェアして仕事が生まれていくような世界が必要なのではないか――。それが実現できるのはクラウドワークスかもしれないと思って、転職しました。