プルデンシャル生命(以下、プルデンシャル)には、DE&Iを抜群のリーダーシップで牽引する女性リーダーがいる。2002年にプルデンシャルに入社し、ライフプランナー(以下、LP)、営業管理職として活躍後、営業出身として女性初の執行役員に就任した長谷川尚子さんだ。

長谷川さんは、幼少期を海外で過ごし、国籍や人種の異なる人たちと触れ合う環境で育ったグローバルな経歴の持ち主。それだけではなく、さまざまなスポーツを通じて自身を磨き、ボディビルディングでは全国優勝を果たすなど、多彩な一面も持っている。
今回は、「女性たちの活躍を心から応援している」と語る長谷川さんの「My Rules(マイルール)」や、DE&I推進への想いを聞いた。
※DE&I=ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)&インクルージョン(受容・包括)

前編:スポーツ一筋だった長谷川さんがなぜプルデンシャルに?
後編:営業出身として女性初の役員となった長谷川さんの「My Rules」(←今回の記事はココ!)

決断したのは、いつも“自分”。だから、最後までやりとげる

人生を振り返ってみると、「自分から『やろう』と思って始めたことって実はあまりないんです」と話す長谷川さん。しかし、“やらされている”と思ったことは一度もないという。

「改めて自分の過去を振り返ってみると、とても受動的ですよね。柔道もボディビルディングも、それこそプルデンシャルに入ってからも。自分からやろうと思って動いたわけではなくて、周りの勧めを受け入れているだけ。でも、最終的に“やる”と決断したのは自分。“やらされている”というマインドではなく、“自分でやると決めたら最後まで責任を持ってやる”ことは常に意識しています」

何事も、人のせいにはしない。長谷川さんの“軸の強さ”が垣間見える。

「とはいえ、やりたくないことを『一度決めたことだから』と無理に続けているのではありません。私自身がやりたくなることを、結果的に周りから提供してもらっているという感覚が近いかも」

「周りに恵まれているんです」と微笑む長谷川さん。しかし、周りから声がかかるのは、長谷川さんの“新しい世界に飛び込む勇気”と“やり遂げる力”をみなが知っていて、尊敬しているからに他ならないのだろう。


長谷川さんの「My Rules」

仕事でもプライベートでも、「明確なルールは無いんです」と語る長谷川さん。明確なルールを作らない理由は、「自分で自分へのルールを作ってしまうと、時にはルールに縛られてしまうような気がして。それに、イレギュラーが起きてルールを守れなかったとき、余計なストレスを感じてしまうかもしれないなと」。

「だから、私にとってのルールは、こんなことかもしれない」と、日頃から実践してることを3つ、教えてくれた。


何事も、まずは挑戦してみる

「新しい環境であったり、役割であったり――どんなことでも、まず『やってみよう』という気持ちをもつこと。新しい挑戦には勇気が必要ですが、『心配事の9割は起こらない』という言葉もありますし、実際そう感じるんです。まだ起きてないことを心配して前に進まないのはもったいない。自分を信じて、やってみる勇気を持つことを大切にしています」


嫌いな人をつくらず、誰とでも平等に接する

「私、嫌いな人がいないんですよ」と笑顔を見せる長谷川さん。

「人には相性がありますから、仕事でもプライベートでも、苦手だと思う人はいるかもしれません。でも、“嫌い”だとは思わない。嫌な部分に目を向けるのではなく、良いところを見るようにしていますね。そうすると、誰に対してもフラットに接することができるんです。人によって態度を変えることはしたくありませんし、年齢や立場も関係ないと思っています」

「海外で長く生活していたということもあって、人種も宗教も性格も何もかも多種多様な人たちとともに過ごしていたから、多様性が染みついているのかもしれませんね」


まとまったオフを作って、趣味を楽しむことも忘れない

現在はDE&I推進担当役員として大忙しの日々を送る長谷川さん。仕事ばかりになっているかと思いきや、「もちろん、しっかりオフも取るようにしていますよ!」とのこと。仕事とプライベートのオンオフをどう切り替えているのだろうか?

「最大の癒しは愛犬たちです。家に帰って、ちぎれんばかりにしっぽを振って出迎えてくれる愛犬の姿をみるだけで、どんな疲れも吹っ飛ぶんです(笑)。定期的にまとまったオフを作って、母と愛犬とともに旅行をしたりもしますよ。ああ、幸せだなと心から感じる瞬間です」

愛犬との写真に笑顔をみせる長谷川さん


今よりもっと、「女性に選ばれる会社」へ

女性は妊娠・出産・育児など、ライフステージが変わると、どうしてもキャリアを中断せざるをえないことが多いが、プルデンシャルは、そうした女性のキャリアや働き方についても、決してあきらめない。長谷川さんはそんな「あきらめない」をさらに加速していきたいという。

「LPの仕事は、自分の裁量で働く時間をコントロールできます。この『Free to Work』という風土をもっと多くの人に広めていきたいんです」
※Free to Work=勤務時間に制約されることなく、自ら働く時間をコントロールすることができるというプルデンシャル独自の考え方

「LPは、女性にとっても最高の仕事だと思っています。もちろん簡単な仕事ではありません。経験を積み重ねることで人間力を磨き、お客さまから信頼される人物にならなくてはならない。そういった努力ができる人にとっては、最高の仕事であり環境だという意味です。例えば、育児や介護などで急用ができてしまって、お休みしなければならないという時。急に休んでも会社のメンバーに迷惑をかけるということがありません。自分のペースで働くことができます。そういった意味では、今も十分働きやすい環境なのだと思いますが、今後さらに優秀な女性たちの活躍の場を広げるために、何が必要かを考えて実現していくのが私の役目です」

さらに、プルデンシャルには充実した子育てサポート支援制度があるが、「公平性を重視しつつ、もっともっと充実させていきたい」と、長谷川さんはさらに上を目指す。

「現在は、育児休暇から復帰すると活動資金を受け取れる制度があります。他には、子どもを預ける保育施設の費用の一部を会社が負担するというものも。でも、まだまだそれだけでは足りないと感じていますね。今以上に、子育て世代が何を求めているのかに耳を傾け、叶えていかないと」

そのために、この春、長谷川さんがリーダーを務めてきた女性活躍推進タスクフォース(通称:Prudential Mimosa Project)を永続的な組織とすべく、DE&I推進チームを立ち上げた。

「例えば、お客さまや会社への貢献を測る指標について、一つの評価軸ではなく個人それぞれの強みにフォーカスして評価できるようになったら、プルデンシャルは今よりも強くて素晴らしい環境になると思います。今現在も、プルデンシャルは女性にとって魅力的な制度があり、働き方の選択肢もとても広い。でもここで立ち止まらず、時代に合わせて制度を見直していくことで、さらに女性が働きやすく、もっと女性に選ばれる会社になれると信じています」


何事も、チャレンジする前に諦めないでほしい

「自分は器用じゃないから仕事と育児の両立は難しいかも」「体力もないし、保険の営業なんてきっと出来ない――」そう考える人もいるかもしれない。しかし、長谷川さんは、「チャレンジする前に諦めるのは、もったいない」と感じることが多いそうだ。

「十分出来ているのに、自分を過小評価してしまう女性が多いなと感じます。早く、その殻を破ってほしい。破るためには、思い切って色々試す――チャレンジするしかありません。チャレンジした結果、『なんだ。私、やればできるじゃん!』という気づきと自信が生まれるんですよね。一つずつ実績を積み重ねていくことが、自信に繋がるんです」

長谷川さんも、自分自身の意思で「やる」と決め、チャレンジしたからこそ“今”がある。
与えられた仕事に真摯に向き合い、何事もまず挑戦してみることで、一歩一歩進んできたのだ。

「私も自己肯定感が高いわけではないし、まだ破れてない殻もたくさんあります。でも、目の前のことを一つひとつクリアしていったら、意外と高みまでいっていた、なんてこともある。私自身、プルデンシャルの役員になるなんて、入社時は全く想像していませんでしたから(笑)。今、大きな夢や目標がなかったとしても、『あのときああすればよかった』っていう後悔だけはしないように。やる前から諦めるのではなく、自分の可能性を信じて、色々なことにチャレンジしてほしいなと思いますね」

執行役員としての定年は60歳。「今58歳なので、もうすぐなんです」と話す長谷川さんは、定年後にどんなビジョンを持っているのだろうか。

「私の人生のモットーは、『一度きりの人生を、絶対に後悔しないよう目一杯楽しむこと』です。定年後は、愛犬といる時間を増やしつつ、何かボランティアができたらいいなと思っています。ボランティアをするというのは、プルデンシャルの全社員に根付いた文化なんです」

さらに、「他にも時間ができたらやってみたいことは山ほどあります。でも今はとにかく、プルデンシャルで もっと多くの女性が活躍するにはどうしたらいいか、ということだけを考えています。『女性にとっても最高の環境を作る』というミッションを精一杯やりきりたい。私が定年退職する頃には、今よりもっともっと多くの女性たちに、『自分らしく働ける最高の環境に出会えた』と思ってもらえるような会社にしていきたいです」。


取材・執筆:ヨコシマ リンコ
編集:山口 真央(ヒャクマンボルト)
写真:Ban Yutaka