離婚・上京を経て見つけた、ライフプランナーという天職
離婚後の37歳の時に会社に異動を願い出て、子どもたちを連れ、当時住んでいた関西から、東京のひとり親家庭への支援が手厚い地域に引っ越しました。
新居からは東京タワーと六本木ヒルズが見え、子どもたちが寝静まったあとにその夜景を見ながら、「私ががんばるしかない」と不安な気持ちと戦っていましたね。いまでもその景色を見ると、当時の行き場のない不安が思い起こされ、胸が締め付けられます。
とにかく「屋根のある暮らし」と、「子どもたちが食べたいものを食べられる生活」を守ろうと、手探りの日々でした。
東京に引っ越してからも営業サポート部門で働きましたが、「充実度」という面では満たされず……。会社は子育てしやすいように業務負荷が軽い部署に配属してくれたのですが、それにより仕事へのやりがいを感じにくくなってしまって。
成長するにつれて子どもたち自身でできることが増え、乳児~幼少期に比べると私の「手数」は減っていきました。そうして時間の余裕ができると、自分にとっての仕事の価値を見つめ直すように。
いずれ子どもたちに仕事について説明するときがきたら、意義ややりがいを堂々と話せるようになりたいと考えるようになりました。
そのころ、登録していた転職エージェントから情報が届き、とある生命保険会社のセミナーに参加しました。そこで東日本大震災の際に保険会社が被災地に駆けつけ安否確認をしたという話を聞き、「この仕事だ!」と直感。
というのも、次女の病気に不安をいだいているころ、患者会に顔を出す先輩ママたちが苦しい時期を抜けて笑顔で私たちに接する姿を見て、幸せの象徴のように感じたのです。
そのころから漠然と「私も悩んでいる人のもとに駆けつけ、幸せになるためのサポートがしたい」と思っていました。
そこからはいろいろな保険会社と面談。面談では必ず「御社の競合はどこですか?」と質問していたのですが、プルデンシャル生命の営業所長だけが、「競合はありません。敵は自分自身(あなた自身)です」と答えたんです。
ここは他社とは違う……と強く印象に残りました。
その後の支社長との面談は2時間ほどでしたが、一度も時計を見ることなく、あっという間だと感じるほど話に引き込まれてしまって。これまでの職業人生でそんな経験は初めてで、この人たちの話をもっと聞きたい、もっと知りたい、一緒に働きたいと思いましたね。
専門性を高めるために通った大学院。そしてMBAを取得
ライフプランナー1年目は目標としていた成績を残せたものの、保険のプロフェッショナルになり切れていないと痛感する日々でした。
当時は一人前になるためにがむしゃらに働くような時期で、私も必死に食らいついていましたが、睡眠不足から業界共通のテスト中に寝落ちしてしまい、落第するという悪循環に陥ってしまって。いま思えば完全に空回りしていたのですが、そのことに気づく余裕すらなく……。
ある日、良かれと思ってやったことを当時の営業所長に注意され、「じゃあ、どうしたらいいのか教えてください!」と開き直りました。
それまでは何でも一人で考えてやりきらなければと自分にプレッシャーをかけていましたが、開き直って助言を求めたことで新しい視点が得られ、助けてもらったことで気持ちも楽に。思い切って誰かの力に頼ることで、自分の可能性が広がることを実感しました。
一方、「知識不足の自分が担当では、お客さまが不幸になってしまう」という危機感と、がむしゃらさを主としたスタイルを変えたいという思いで、研修期間が終わる前の入社2年目に、大学院への入学を決意。
大学院ではMBA(経営学修士)取得プログラムを受講しましたが、私自身はその大学院が経営だけでなく、不動産と税務に力を入れていることに魅力を感じて入学しました。
不動産は、購入する時は幸せでも手放す時にはさまざまな問題が生じることがある。私自身も離婚時に不動産トラブルを味わった経験があり、お客さまの不動産に関する悩みにも応えられるように法律面も含めて学びたかったのです。
学び直しによって視野も大きく広がりました。
一番変わったのは、経営者へのリスペクトが増したこと。私は時間とお金をかけて体系的に経営を学びましたが、多くの経営者の方々は、実践の中で日々会社を存続させるために奮闘されています。
入社当初は「悩んでいる人のもとに駆けつけたい」という思いが強かったのですが、MBA取得後は「経営者のお役に立ちたい」という目標も加わりました。
とはいえ、私が実際に経営サポートするわけではなく、必要な場面で必要な専門家とおつなぎすることが自分の役割と考えています。たとえば同じ税理士の先生でも、相続税に強い方、法人税に強い方、スタートアップが得意な方などさまざまです。
お客さまの悩みに応じて最適な専門家をご紹介できるようになったのは、ビジネススクールで培った人脈と知識のおかげ。自分にできることには限界があるけれど、ご縁をおつなぎすることでお客さまをサポートできるという視点を持てるようになったことも学び直しで得た財産です。
ライフプランナーは、自分の好きな分野について学びを深め、それを仕事に活かせるというのも魅力の一つだと思います。
家族の存在が、モチベーションの源泉に
昨年再婚したのですが、彼は経営者なので、私が自宅で保険商品の説明を練習していると、経営者視点で「僕だったらこんな提案がほしいし、こんなふうに話してほしい」とアドバイスをくれます。
それを素直に受け止められるようになったことも、私の成長かな(笑)
次女の疾患のこともあってコロナ禍は対面商談を控えましたし、娘たちの受験があったので、この数年は仕事をセーブしていました。
でも長くライフプランナーを続けたいからこそ、そんな時期もあっていいのかなって。
娘たちも、「お笑い芸人も再ブレイクする人がいるじゃない? ママもがんばっていたら再ブレイクするかもよ!」なんて励ましてくれて(笑)
特に次女は、「私がライフプランナーになってママのお客さまを引き継ぐ」と言ってくれるのですが、「ママ、今月の調子はどうなの?」とチェックしてくるほど!
娘がお客さまを引き継ぐかもしれないと思うと、お客さまはもちろん、娘にとっても恥じないライフプランナーでありたいです。