「やりたいこと」を仕事にしていいなんて、想像もしなかった

だいじろー:ぼくにとって言語というのは「ゲーム」みたいな、楽しいものでした。だから、仕事とはリンクしなかった。社会人は「お金を稼ぐためにやりたくないことをやらなければいけない」という固定観念があったんでしょうね。まさか自分にとって楽しいことや得意なことを仕事にしていいなんて想像もしませんでした。だからふつうに就職したところ、そこが結構体育会系な会社で。ぼくには向いていない環境だったので、結局、半年で辞めちゃいました。

この調子でまた就職しても同じことを繰り返すかもしれない……。そんな予感があったから、とりあえず国を変えようと思いました。

だいじろー:物価が安いタイに行って、日系企業に入りました。ただ、そこも10カ月ほどで辞めてしまい……。次の転職先は環境もかなり良くて、4年ほど勤めましたが、結局辞めてしまった。そこで、「ぼくって継続ができない人間なんだな……」と落ち込んで。

そんなときに、ブレット・N・スティーンバーガーという精神科医が書いた『悩めるトレーダーのためのメンタルコーチ術』って本を読んでいたら、こう書かれていたんです。

「一貫性のなさや継続性のなさは、あなたが他のものに惹かれている証拠である」

ハッとしましたね。確かに、やりたいことやってないんだからそりゃあ辞めるよな、と。

だいじろー:子どもの頃から興味を持っていたテーマを仕事にできるなら、これ以上幸せなことはないって思いました。手始めに友人と、タイ人のタクシー運転手の真似をした動画をYouTubeに投稿してみたところ、めっちゃバズって。しかも当のタイ人にめちゃくちゃウケたんです。そうしてYouTuberとしての仕事を確立しようと思っていた矢先……体調を崩し、チームから抜けて帰国することになりました。

帰国して、じゃあ、ひとりで動画投稿をやってみよう。英語の発音や文化について、ぼくが心の底から面白いと感じることを発信しようと思って始めたのが、現在のチャンネルです。するとスタート直後に投稿した、「イギリス人とアメリカ人の喧嘩」をテーマにした動画がバズって、2週間で登録者数が10万人を超えました。

だいじろー:そうなんです。ぼくの地元の北海道新聞にも取り上げられたりして、「なんだ、これでいいんじゃん!」って。自分のなかでもスイッチが入る感覚がありました。そもそも、英語系YouTuberってバイリンガルの人やミックスルーツの人ばかりで、ぼくみたいな日本生まれ日本育ちの人はいなかった。だから一見難しいジャンルのようでもありますが、発音に焦点を当てて、イギリス英語とアメリカ英語の違いを面白がるような人もいなかったんです。

つまり、ぼくの興味をそのまま動画にすれば差別化ができるし、勝てるかもしれないって思いました。