家事育児も立派な仕事、だから専業主婦だって当たり前に「働く女性」なのに、「働く女性」というと外で仕事をする女性を指すことにモヤモヤする昨今。と、いうわけで、「働く」がテーマのこのエッセイ、最後は家事育児について書こうと思う。

先日「キラキラしてないリアルな方の犬山紙子」というインスタアカウントを作った。そこには「深夜のとっ散らかった部屋」「私のシミと肝斑」「ダルダルの部屋着」などを投稿している。

もともと「犬山紙子」でインスタグラムはやっていたのだけれども、そこに載せるのは「部屋が片付いている時の写真」「メイクをしっかりして光もいい感じに当たっている写真」「とても優しそうに育児をしている写真」……全部いいところだけを切り取って載せていた。ただ、それが悪いというわけでもないと思う。インテリアもコスメもファッションも好きだし、嘘を載せているわけではない。ただ、日々のだらけきった姿を隠蔽しているだけ。

でも、みんながみんな隠蔽していると、そりゃ見てる方も疲れてくる。インスタグラムで人と比較することにより、10代の少女の自尊心が下がったという調査結果もあるそうだけれど、中年女性だって自尊心がすり減るの!! 「大人なんだから、人と比べるな」だなんて言われましてもね、人間「比較」から逃れるのは無理があるってもの。「ああー、この人の家いつも綺麗だなあ、比べて我が家は……」「あー、毎日子どもに読み聞かせしてあげてるんだ、昨日あまりの眠さに読み聞かせしなかったな……」私だって思う。

これは特定の誰か一人の投稿が悪いのではなく、「インスタグラムにはみんな良い部分を投稿する」という性質のせい。だから、じゃあ試しにキラキラしてない部分を投稿するアカウントを作ろうかと思ったのだ。「これみて誰かがちょっとでも楽になってくれたらいいなー」と始めたけれど、むしろだらける姿を開示し、それを「わかる」と言ってもらえることで私が生き返った。なーんであんなに強迫観念のように「いい感じに見られたい」と思っていたのか。わかるって言ってくれた人、ありがとう。

日々、外で働いたり、買い物して食事の用意をしたり、部屋を片付けたり、ペットの散歩をしたり、病院に連れて行ったり、子どもを送り出し、迎えに行ってはまたお風呂に入れたり、読み聞かせしたり、1時間以上全然眠ってくれない横で無になったり……。人それぞれ働く日々を過ごしていて、みんなみんな本当に大変なはず。子どもがいる人も、いない人も、結婚している人も、独身の人も、みんな本当に大変なことってあると思うのです。

だからこそ家事は手抜きが大切! と言われるようになってきたけれど、正直雑誌などの「手抜き家事特集」は「それって当たり前だと思っていた、それも手抜きに入るの?」と思っちゃうくらいちゃんとしていたりする。

「手抜き家事」って「自分に休み時間を与える」と同義じゃないですか。自分に休み時間を与えるって、生きるためにすごくすごく大切なこと。何も考えられずスマホのパズルゲームをやっている時間とか、生産性がないようでいて体と心を守るための時間だったりする。なのでね、手抜き家事って言うとどこか自虐的な雰囲気があるけれど、「私は私の心と体を守っている!」と堂々としていたいものだ。

と言うわけで今日も堂々とだらけ切った姿をインスタにポストする。今日は「麦茶を毎度冷蔵庫にしまうのがめんどくさい様子」になります。


画像: 家事育児も仕事  犬山紙子<第三回>

犬山紙子(イラストエッセイスト)
仙台のファッションカルチャー誌の編集者を経て、家庭の事情で退職。20代を難病の母親の介護をしながら過ごす。2011年、女友達の恋愛模様をイラストとエッセイで書き始めたところネット上で話題になり、マガジンハウスからブログ本を出版しデビュー。現在はTV、ラジオ、雑誌、Webなどで粛々と活動中。
2014年に結婚、2017年に第一子となる長女を出産してから、児童虐待問題に声を上げるタレントチーム「こどものいのちはこどものもの」の立ち上げ、社会的養護を必要とするこどもたちにクラウドファンディングで支援を届けるプログラム「こどもギフト」メンバーとしても活動中。その反面、ゲーム・ボードゲーム・漫画など、2次元コンテンツ好きとしても広く認知されている。

This article is a sponsored article by
''.